【アイナナ】Hiver【千】 (ページ4)

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02-2 貴女side ページ4

「じゃあオレはもう一人の子の方に行ってくるね」
百が自身の担当の相談者のもとへ向かうため、その場からいなくなる。まずカメラの入らない交流に移った。

てっきり、Re:valeの二人がお悩み相談をしてくれるのだと思っていたが、千担当の子と、百担当の子がいるらしかった。
そして光栄なことに、その千担当の子が私、というわけだ。

「じゃあまず、崎田さん」
「ひゃ、ひゃい…!?」
「くくっ…どうしたの…」

千の笑いのツボが浅いことは知っていたが、まさか目の前で笑われてしまうとは。
ちょっとショック。

「自己紹介をしよう。はじめまして、僕は…知ってると思うけど、Re:valeの千です」
「お、お初お目にかかります…私(わたくし)は、崎田 Aと申します…！」

改めて、千が目の前にいる事実に緊張しながら、私は千に自分の名前を告げる。

目の前に好きな人がいる。
自ら望んで応募したのだけれども、実際にその状況になってみるとどうしようもなく照れてしまうものなのだった。

「あ、あの…、お忙しい中私のようなもののためにお時間を割いてくださり、まことにありがとうございます…！いつも生きる気力をいただいております…！不束な者ですがどうぞよしなに…」
「え？まあ仕事だからね。宜しくね」
「はい…！貴方様のような神々しい方とお話させていただけて天にも昇るような気持ちです。宜しくお願い申し上げます」
「待って、待って」

頭を下げて土下座をする私に、千はストップをかけた。

「なんでございましょう？」
「ふ、普通に喋ってくれない？大変でしょ？」
「普通でございます」
「普通じゃない。壮五くんでもそんな話し方はしないよ」
「壮五くん…!?IDOLiSH7の…！」

私はあまりにも興奮してしまい、「さすが、よくIDOLiSH7と共演されているだけありますね！」
「そ、そうね」

千は若干引き気味な目で私を見る。
その目線はやめてください…。

「…話し方でございますが、実は癖でありまして。しかし千さんがそう仰るなら、善処致します。私のような愚者を気にかけてくれてありがとうございます。えへへ、少しだけ砕けさせてくださいね」

私は千の手を取った。
前職での癖であったが、まさか抜けきれていなかったとは。

「…そっちの方がかわいいよ」
「は、はわ…」

照れてしまう。目の前で憧れのイケメンが自身を可愛いと言った…その事実を受け止めるのに時間がかかった。