02-1 貴女side ページ3
玄関チャイムの音が鳴る。
宅急便でもない限り、私の部屋を訪ねてくるような物好きはいない。
では宅急便だろうか？物を頼んだ覚えはないし、誰かから物が送られてくるなんて話も聞いてはいない。
しかしとりあえずチャイムがなったからには出なければならない。インターホンの受話器を取った。
「宅急便でーす」
宅急便か。誰かが連絡なしに何かを送ってくれたのだろうか。まあそんな相手、両親くらいしか思い当たらないが。
「はい、少々お待ち下さい」
受話器を戻して印鑑を準備すると、家の玄関扉を開けた。
「こんにちはー！Re:valeでーす！」
「え」
一瞬にして思考が停止した。今目の前でなにが起こっている？
「おーい！崎田さん！崎田Aちゃーん！」
「ふふ、完全に固まってるね」
「ユキがイケメン過ぎたから!?」
「そうかもね」
は、と我に返ると、目の前には、いちゃつくテレビの中のままのRe:valeがいた。
「…なんでRe:valeが…」
「不思議で仕方ないって顔してる」
「ありゃー！Aちゃん、前オレたちに葉書くれたでしょ？」
「は、がき…？」
何の葉書であろうか。確かにファンレターを出したことはある。しかし葉書ではなく、普通の便箋に書いたはずだ。
「ほら、オレかユキがお悩みを解決しちゃうよ！って企画の！」
「っ！ああ…！」
出した。確かに出した。しかし何の音沙汰もなかったため、普通に落選していたのだと思っていたのだ。
「出しましたっ…！葉書！でもどうして…？」
「君が選ばれたんだよ」
「ええ…!?」
「Aちゃんのお悩みを担当するのは、ユキになったんだ！」
「迎えに来たよ、Aさん」
「ひぇぇ…倒れそう…」
「倒れないで〜！」
全国ネットのカメラの前で醜態を晒すなんてごめんだが、どうやら頭がついていかない。
「ゆき、さん…が？わたしの？」
「そうだよ。宜しくね」
「信じられない…」
こうして運良くも当たってしまった私と、千さんの交流が始まった。
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作者名：伊織露維 | 作成日時：2019年10月16日 5時
