五条先生のマッチングアプリで知り合った彼女 (ページ14)

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天才と凡人① ページ14

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競馬学校に入学間もない一年生には五月に日本ダービー見学という行事がある。

「見たかよ！！今勝った馬に乗ってたの俺の親父だぞ！」

Aの父、名を藤宮和彦(ｶｽﾞﾋｺ)。
騎手、調教師といえば"藤宮"と競馬界御三家とも言われる家に生を受け、競馬学校にも合格し絶賛天狗であった。
父はかの有名な、3冠を無敗で達成した馬に騎乗していた若き天才。

※3冠(3歳しか挑戦できない皐月賞･日本ダービー･菊花賞を勝つ事)

天才(父)が日本ダービー3度目の勝利を飾ったそのレースで我が物顔で自慢していたのが和彦であった。

同期からは媚びられることはあっても尊敬や好意を向けられることはなかった。いわゆる、父親がすごいのを自分がすごいと勘違いしてイキってる少年だった。

「道中他の馬に阻まれてた。アレをパワーでねじ伏せたのは間違いなく騎手じゃなくて馬の才能でしょ」

そして、後に日本で初めて女性騎手となる少女。
櫻井百合(ｻｸﾗｲﾕﾘ)は、Aの母。
俗に言う一匹狼タイプのクール系女子であった。思った事は忖度無しで言うタイプでもある。

一般家庭出身のため乗馬経験は中学三年間の乗馬部でのみ経験。
入試の時は「部活でのみ、それもたった三年しか乗ってないのにこれだけ乗れるのか！？」と教員たちの間で話題になった、いわゆる天才である。

「一般人上がりじゃわかんねぇだろ。馬乗り慣れてなくて下手くそな癖に何偉そうなこと言ってんだよ！」

「事実でしょ？それに貴方が我が物顔で自慢してるけどすごいのは馬よ？騎手なんてオマケ」

そしてこの時、二人は競馬学校同期であった訳だが死ぬほど馬が合わなかった。騎手なのにだ←

授業でいがみ合い、厩舎でいがみ合い、模擬レースでいがみ合い、師匠となる調教師の前でもいがみ合う。

学校の教官いわく、二人は個々なら大人顔負けの騎乗をするのだが揃うとIQが自我を得たばかりの子供レベルに下がるらしい。

そんないがみ合いの末卒業し、騎手免許にも二人とも合格。

百合は一歩一歩、一般人でつてがないなりに地道に交流を深め騎乗数を増やしていった。
それに対し、天狗になっている和彦は態度が悪く一度依頼をしてくれたところからは二度と依頼が来ないレベルで関係者に嫌われ、騎乗数を減らしていった。