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「想いの芽生え」:2 ページ13

トイレに駆け込み、鏡の前で茫然としていた。

鏡の中には、瞳に光を失った、まさに絶望とでもいうような顔の自分がいて。

「…わたし、何を…」

あの時。

ハヤトさんと他の女の子が楽しそうに話している姿を見て、私は考えてしまったんだ。

___ハヤトさんは、他に好きな人がいるのかもしれない。

少女に向けた、あの笑顔。キラキラと輝くあの笑顔が脳裏に蘇る度に、私は目尻に涙が浮かびそうになる。

私は、他の女の子に比べたら確かにオシャレな服やメイクとかには疎い自覚がある。

でも、それでも私はハヤトさんの側にいたかった。

__それはなぜか?

…彼の横が、心地よかったんだ。

私のダメな所も良い所も全部肯定してくれて、一緒に手を繋いで歩いてくれた。その手の温もりがただただ心地良くて、ずっと握っていたいと思っていた。

だから私は、ハヤトさんが他の女の子と一緒にいることが妙に心に引っかかってしまった。

どうしてだろう、そんなことどうでもいいはずなのに。

…私、これじゃあまるで。


___ハヤトさんのこと、好きになってるみたいで…。


一学期の頃からずっと気になっていた人。

もしかして、いやもしかしなくても、この気持ちはずっと前からそうだったのだろうか。

顔を上げると鏡の中に映る私は、いつもより遥かに顔を赤らめていた。

息を整えてからトイレを出て、早く帰ってしまおうと駅に向かった。



駅の入り口前までたどり着き、できるだけ誰かに顔を見られない様に俯いたまま、そのまま改札の方に向かおうとした。

その時、後ろから声を掛けられた。

「あ、Aさん!」


一番、今会いたくない人の声だった。

振り返るとそこには、ハヤトさんとその横に先程見かけた女の子が立っていた。

「想いの芽生え」:3→←第十九話 「想いの芽生え」:1



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設定タグ:夢小説 , 加賀美ハヤト , 2434   
作品ジャンル:ラブコメ
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こみ - 私もこの1年間高2A組だったのですごく嬉しかったです!幸せでした! (2021年4月4日 15時) (レス) id: a0adc0f2be (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - ばちぅ兼もてゃさん» こんにちは。コメント、そして読了ありがとうございます!続編の方は別のお話と同時進行の予定ですので、もうしばらくお待ちください。 (2020年6月20日 18時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
ばちぅ兼もてゃ - こんにちは...ばちぅ兼もてゃです...最初から最後まで全部読んでました、執筆お疲れ様でした!続編も楽しみにしてますね、もちろん読みます (2020年6月20日 18時) (レス) id: 603073c1b4 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 蒼渇さん» 蒼渇さん、コメントありがとうございます。楽しんで頂けたようで何よりです。よければこれからもお付き合い頂ければ励みになります。 (2020年6月2日 14時) (レス) id: 472e77b4e7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼渇(プロフ) - ひぇ…めちゃくちゃキュンって来ました…好きです!!!!!!!無理せず更新頑張って下さい! (2020年6月2日 10時) (レス) id: c685f96854 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:伊織 | 作成日時:2020年5月30日 14時

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