【gr】総統閣下の有能秘書【君に恋する】 (ページ9)

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9話ページ9

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彼女はふんわりと微笑むと、俺の部屋を出て行った。

「...っ、はぁ～」

俺はいつのまにか止めていた息を吐き出す。

「あんなん、言えるわけないやろ...」

このスパイの狙いは幹部やなくて君なんや、なんて。

俺は彼女に嘘をついた。

スパイの洗い出しの件は本当。だが、そのスパイは俺たち幹部を狙った者ではなく、総統のお気に入りの彼女を狙ったスパイなのだ。

もしかしたら攫われてしまうかもしれない。

何故それをわかっていて彼女をこの仕事の関係者にしたのか。

それは彼女にいつでもスパイが襲いかかってくるかもしれない、という危機感を持たせる為だった。

そして彼女にはもうひとつ仕事を頼んだ。

それは今日グルちゃんを襲った観光客の尋問だ。

何故かそいつは、総統の秘書を連れてこい、彼女にしか話さん、としか言わなかった。

いくら拷問をしても、情報を吐かない。

ただ、秘書を連れてこい、としか言わない。

それがあまりにも怪しかった。

まるでまだ作戦は続いている、捕まってしまうことなど想定済みだ、と言われているようだった。

だから逆にそれを利用してやろう、となり、彼女に行ってもらうことになった。

俺はその間にその観光客の仲間であろうスパイが動き出すことを想定し、彼女に隠れてスパイの洗い出しを行う。

危険な賭けのようなものだ。

俺はその危険な賭けに彼女を参加させてしまった。

もっと良い作戦があったかもしれないのに。

俺はだんだんと暗い方向に向いていく思考を振り払うように頭を振り、気を引き締めて明日の準備を始めた。