【gr】総統閣下の有能秘書【君に恋する】 (ページ16)

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16話ページ16

A side

捕まってから2日がたった。

私はこれまでの出された食事は食べずにいた。

なぜなら毒が入っているかもしれないでしょう？

苦しんで死にたくはないもの。

おかげで脳も正常に動かなくなってきている。

だから私は城にきてからの思い出を振り返ることにした。

しばらく考えていた時にふと思ったことがあった。

あれ？私の城での思い出って総統様とのものばかりなのでは？と。

私は総統様のことは大切に思っている。

もちろん他の幹部の方々も、だ。

だけど彼への気持ちとは違う気がした。

彼とメイドが会話をしている時に感じた胸の痛み。

今までも似たようなことがあった。

隣国の姫様が来た時、ハニトラの女スパイが来ていた時。

私はその胸の痛みを感じるたびに、その痛みを無視し続けていた。

そして今。彼と離れてしまったからこそはっきりとわかる。わかってしまった。

私は彼に、

恋をしていたのだ、と。

だから作戦会議の後、鬱様の部屋を出る時、大切に思っている、と言われた時に心が温かくなったのか。

私は後悔した。

あぁ、なんで今更気が付いたのか。

気が付いていたら、名前で呼んでくれ、なんて願いすぐに聞いたのに。

そう思った直後、私の頬には温かいものがつぅっと伝った。

『ぐすっ...ごめん、なさいっ...グルッペンッ...』

私は嗚咽を漏らしながら泣いた。

もう意味がない、と分かっていても。

すると急に誰かの声がフラッシュバックした。

“...信じといてな？”

何を？誰を？

糖分の足りていない脳をフル活用し、考えようとした。

するとコツ、コツ、とゆっくりとした足取りの足音がした。

gr「...やっと呼んでくれたか」

暗闇から現れたのは、私が名を呼んだ彼だった。

彼は今助ける、と言い牢の鍵を開ける。

私がフラフラとした足取りで彼に近づくと彼はしっかりと私を抱きしめてくれた。

『ごめんなさいっ...グルッペン..』

私は何も考えられず、ただ彼に会えたことだけを考え、彼の名を呼び続けた。

やがて体力の限界が来ていた私はかろうじて保っていた意識を手放した。

gr「ああ。今はゆっくり休んでくれ」

彼の優しい声を聞きながら。