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. 《No side》 ページ45
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「...すまない。エーミールくん。私は彼らを元に戻せない」
長い長い沈黙の後に顔を上げたくられは苦渋の思い、とわかるような声色でそう言った。しかし未だ納得のいかなさそうな表情のエーミール。
お互いの意見が噛み合わないのも仕方がないのだ。何故なら、お互いに各人の意見に沿った理由を、全くと言っていいほど相手に伝えていないからである。
頭のいい2人がそのことに気がつかないはずはないのだが、それを踏まえた上で、こうやって意見の対立を起こしているのだ。お互いに理由は言いたくないと考えているためか、どちらかが自分から理由を聞かせてほしい、なんて野暮ったいことは言い出しはしなかった。
「......そうですか。ではこの話はまた今度、ということでいいですか?」
くられの言葉に何を思ったのか、ギュッと顔を顰め、そう言ったエーミールは、何かを憎むような、睨むような表情のまま応接室を出て行ってしまった。応接室には1人残されたくられの、全ては手のひらの上、か...と呟いた声が響いた。
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作者名:イオ x他1人 | 作成日時:2021年1月25日 22時