短編集【ｲﾅｲﾚ・ｲﾅｺﾞ】4 (ページ17)

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吹雪兄弟（吹雪家）2 ページ17

しばらく海をふたりで堪能していると、どちらかの腹の虫がぐるるるるっと呻き声を上げた。遊んでいるときは時間が経つのが早い。その腹の虫の音を聞けば、なんだかお腹が空いてきたような気がして。

「腹減ったな」

「うん、そうだね」

困ったように目を見つめ合えば、自然と笑みが溢れてきて。冷たい海から足を上げて、熱の篭った砂浜に再び足を踏み入れる。そして、ふたりは自分たちを待つ両親の元へ。

両親は自分たちの帰りを待っていたかのように手を振っている。

「おかえりなさい」

「士郎、アツヤ、お腹空いたんだな？ご飯にするか」

「うん！」

「なあ、何食べるんだ！？」

「何にしようかしらねぇ」

「アツヤ、あれなんてどうだ？」

父親が指さす先に目をやると、途端に美味しそうなソースの匂いが嗅覚を擽る。その匂いにつられるように再びぎゅるると腹の虫が音をあげれば、楽しそうに家族は笑った。笑われたことに少し罰が悪そうに頬を赤らめているアツヤ。

「焼きそばにしようか」

「うん、そうしよう」

家族全員が同意すれば、焼きそばを売っているお店に向かった。

「はーたくさん食べた！」

「アツヤはほんとすごいね」

「だろ？いっぱい食べて兄貴よりでかくなってやるんだ」

「おお、いいじゃないか！頑張れよ」

父は、胸を張るアツヤを誇らしげに思い応援の気持ちを示しながら、くしゃりと頭を撫でた。少し照れ臭そうに、それでも嬉しそうに頬を緩める弟に、僕も負けないように頑張ろうと、密かに胸の中で誓いを立てる。

「ふふ、士郎も頑張るのよ」

「…うん！」

その姿を見ていたのか、母は一つ笑みを浮かべれば士郎の頭を優しく撫でた。そのひとつの出来事にじんわりと胸が温かくなる気がして。

こうして家族と一緒に過ごせることが自分にとっては最高に幸せな時間だ。これからもずっとこうやって、みんなと笑って過ごしていたいな、なんて。

「ねえ、来年もこうやってみんなで海に来たいな」

「…おう、また来ような！」

「そうね、また来ましょうね」

「来年も楽しみだな」

先のある未来を少し誇らしげに感じては、家族4人は楽しげに笑いあったのであった。

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アレオリ軸では実現したかもしれない物語。
でも無印軸を知っている人達にとっては、胸が苦しくなる物語。

お久しぶりです～！
もはやカプですらないですけど、とてもいいものを書けたと自負してます笑
のんびりではありますが、これからも宜しくお願いします！