ぎゅっと、ふわっと。 (ページ6)

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ひとりで感動していると、ゴソっ、と後ろのソファから音が聞こえて、振り返ってみるとりょうすけが俺を見つめていた。

「りょうすけも食べようよ、おいしいよ？」

「だって、太るもん、」

いかにも食べたそうに、そして涙が出そうな勢いで目をうるうるさせていた。そんなことなるんだったら食べればいいのに。

「我慢してるとストレス溜まっちゃうよ？」

「それは… けえくんがいるから大丈夫」

まって………… なにそれなにそれなにそれ！
可愛いもう俺から抱きつこうかな、もうぎゅって抱きしめたい！

りょうすけの目の前までケーキの皿を持っていき、目の前で美味しそうに食べてみせると自然と手が伸びていた。かわいい、洗脳されてるみたい。

「ほらほら～ここに美味しそうなケーキがあるよ～。ひとくちだけでも食べてみない？」

「………………… いらない！」

もうだめだ、もう今日のこの子は何を言っても折れそうにない。

はぁ、とため息をついてしまった。別に失望してるわけじゃないけど、かなしい。そんなの軽くダイエットしたら痩せれるでしょレベルのぷに感だったもん。

すると、りょうすけがいきなり食べかけのケーキのクリームを多めに指ですくった。

「どうしたの、？やっぱり食べたくなっちゃった？」

聞いてもふるふると首を振るだけで、それを自分の舌に乗せると、不意にきすされた。
そして入り込んだ舌と一緒に、口に広がる甘いクリーム。

「ん、っふ …」

じっくり味わうように、ねっとりと舌を絡ませること約1分。クリームは自然消滅した。

「これで、カロリーも甘さもはんぶんこ、だね、？」

顔に熱を感じた。
ふにゃんとした笑顔でおれの首に巻き付くりょうすけの腕。最近茶髪に染めたからか、こいぬ感が前より一層増していた。