緩やかに流れた5ヶ月間 ページ25
中也がまだ居なくなる前のお話し。
緩やかに流れた5ヶ月間の二人の時間。
その一片。
◆中也side◆
今日もAは俺の家へやって来た。
無論、昨日の内にそう云う約束はしてあったが…
本当に幸せな時間だと感じる。
もう暦上では春だとは云うが、未だまだ寒いと云える日々が続いている。
「なぁA」
「んー?」
俺は何か飲み物を、とキッチンへ向かい冷蔵庫を開いた。
ソファに座るAに声をかけると、間延びした声が聞こえてくる。
「何か、飲み物いるか?」
「うん、ありがと〜…っと、おっと、危なっ」
Aは俺の
………下手とも云うが。
早く行ってやらないと出来ないとパニックを起こしそうだな、と思い、急いで冷蔵庫にあった飲み物をグラスに注いで、Aの元へ戻る。
その時目に着いた猪口冷糖を手に取る。
「………」
Aの所へ戻ると、Aは丁度ゴブリンに負けている所だった。
「お疲れ」
「うぅ…」
落ち込んでいるAの前に持って来た飲み物を置く。
「ほら、飲んで落ち着け。手前が勝て無ェのはな───」
と、俺が出来る限り丁寧に見てて思った事を伝えている間、Aは、「成程!」とか「流石中也君だね!」と云いながら俺が持ってきた飲み物に口を着けた。
「判った!じゃあもう一回やってみる!」
「いや、見てて疲れた。一旦休憩しようぜ」
そう俺が云うと渋々といったふうにAはコントローラーから手を放した。
「ほらよ」
と、猪口冷糖を投げて渡すと、「有難う!」とAは顔を綻ばせた。
可愛いな…
そんな事を思ってしまって慌ててかぶりを振る。
俺はAに特別な感情を持ってはいけないんだ、と。
だから俺は可愛いと云う代わりに
「手前、猪口冷糖好きだろ?」
と、言ってみた。
「わたし中也君に猪口好きだって云った事無いよ〜」
と、Aはボヤいたが、顔は満更でも無さそうだ。
「そうだったか?」
「うん」
中也が惚けると、Aは勢いよく頷いた。
「そーいや、もう直ぐ昼飯の時間だな」
「あ、そうだね」
時計を確認すると、もう直ぐ12時を指し示す所だった。
「じゃあ、猪口食い終わったら俺と勝負しろよ」
「えぇー、手加減してよ?」
上目遣いで俺を見るA。Yes以外の選択肢を一気に無くした俺は、
「勿論だ」
と云って付け足す。
「負けた方が昼飯奢りな!!」
「負けないから!!」
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爽斗 - せれな さん» 本当ですか!!ありがとうございます!!頑張ります!! (2021年8月27日 22時) (レス) id: 5b5562e114 (このIDを非表示/違反報告)
せれな - 本当に面白いです これからも応援しています! (2021年8月25日 20時) (レス) id: 6fed7b85b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:爽斗 | 作成日時:2021年7月15日 2時