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「どうだ?」
「……うん、もう、充分分かりました…、」
「何照れてんだよ、全部お前らのことだろ」
「いやほんと、その通りです」
「早く行ってこい。棘病んじゃうぞ」
「うん、みんなありがとう」
私はパン、と自分の頬を叩くと、棘くんの元へ向かった。
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棘くんの部屋の前。
息を整えて、ノックをする。
部屋から聞こえる「しゃけ、」の声はいつもよりずっと元気がない。
「棘くん、」
「……、」
「入ってもいい?」
僅かな沈黙のあと、開かれた扉。
眉の下がりきった棘くんに、胸が痛んだ。
「酷いこと言って傷つけて、ごめんなさい」
「……」
「棘くんは普段からちゃんと伝えてくれてるのに、それは分かってるのに……、いくら喧嘩したからって言っちゃだめなこと言った」
「……、」
「ごめんっ、」
私が頭を下げて、数秒。
くしゃ、と撫でられた頭。
そのまま優しく腕を引かれて、私は彼の部屋の中へ。
思わず顔を上げた先にあった棘くんはにこにこと柔らかく笑っていて。
「…高菜、明太子」
「ううん、棘くんは悪くないよ」
「おかか。……すじこ、」
「…うん、伝わってるよ」
「こんぶ?」
「ほんとだって、ばっ、!?」
ちゃんと伝わっていると、言ったのに。
本当に?と彼が意地悪に笑ったと思うと、閉まったドアに私を追い詰めて。
「……棘く、」
「いくら」
私の右耳にキスを一つ落とすと、そのまま彼は首に顔を埋めて。
「_____ぃっ、」
ちゅ、と可愛らしいリップ音とともに、ピリッとした痛みが走って。
いつもよりずっと大人びた顔をする棘くんに、心臓が壊れてしまいそうだった。
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鹿毛(プロフ) - 高専みたいな少人数で先輩後輩(+一部の先生)の距離が近い学校だと、棘君もにやにやされながら見守られてるんだろうなあ、と私も画面の向こうでにやにやしておりました 笑 もし番外編を書いていただけるなら、二年生担任の日下部篤也先生の証言も読んでみたいです! (2021年3月3日 16時) (レス) id: 67d713f823 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 製作者自身で削除したのか報告によるものかは分かりませんが、今後もしこのようなことがあった場合には、トラブルを回避するためにも報告をして頂くのが最善かと思われます。教えていただき、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました…! (2021年2月12日 12時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - あややさん» この度はご親切に報告していただき、本当にありがとうございます!あややさんが教えて下さらなかったら気付かなかったと思いますので、とても助かりました…!確認しました所、既に削除されていたものの、形跡があり完全に私の小説をコピーしたものでした。。 (2021年2月12日 12時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
あやや(プロフ) - 初コメ失礼します!唐突で申し訳ないのですが、プリ小説というアプリで作者様のパクリらしき作品を見つけてしまい。。。題名は『証言しますよ?先輩』というのですが、プロローグがほぼというか全く一緒で、、、これって報告した方良いのでしょうか? (2021年2月11日 21時) (レス) id: 6957d2b079 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - ぱーむくーへんさん» わー!ありがとうございますー!ぱーむくーへんさんのコメントににやけが止まらないです笑 純粋にめちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2021年1月8日 20時