証言者 : パンダ ページ3
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「じゃー次俺だな!」
「……パンダ、何でそんなノリノリなの…」
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「…あれ、Aじゃないか?」
2年生の面子で久しぶりに出かけようと、棘と一緒に待ち合わせ場所に向かっていると、何やら男に囲まれている小柄なA。
俯いてじっとしている所から、Aを困らせるような相手であることは間違いない。
確かにAは可愛い。
ほっとけない感がすごい。
だから面倒ごとに巻き込まれやすいんだよな。
「なぁ、棘……って、あれ」
ふと横を見るともうそこに棘の姿はなく。
ずんずんと進んでいく背中。
「無視されると悲しいなぁ〜」
「……、」
「ねぇねぇ、」
男の手が、Aに触れる。
(……棘、めっちゃ苛立ってんな)
いつもはふわふわした雰囲気のある棘だが、Aのことになると途端に男らしくなる。
近付いてくる影に、男たちが目を向ける。
それに構うこともなく、棘は真っ直ぐにAに手を伸ばして、自身の方に引き寄せた。
そしてそのまま、彼女の目と耳を塞ぐと。
「 帰 れ 」
不機嫌そうに、呟いた。
普段聞くことのないような低い声。思わず俺までびく、と肩が揺れて汗が滲んだ。
(……棘が一般人に呪言使うなんて珍し、)
くるりと方向を変えて素直にゆっくりと道を歩いていく男たちを横目に、俺も二人に駆け寄った。
「A、遅くなってごめんなぁ、大丈夫か?」
「あ、パンダ!」
ぎゅう、と後ろから抱きついたまま離れない棘と、大丈夫だよーと笑うA。
(棘の方が大丈夫じゃないみてーだな)
「棘くん、ありがとうね」
「…しゃけ、」
「そういえば真希は?」
「私がくしゃみしたから温かい飲み物買いに行ってくれた…」
「過保護」
「あれっ、二人とも来てんじゃん」
「真希ちゃん!」
「高菜!」
「棘、何で不機嫌なわけ?」
その日1日中、棘がAから離れることはなかった。
(……いつものことだけど)
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鹿毛(プロフ) - 高専みたいな少人数で先輩後輩(+一部の先生)の距離が近い学校だと、棘君もにやにやされながら見守られてるんだろうなあ、と私も画面の向こうでにやにやしておりました 笑 もし番外編を書いていただけるなら、二年生担任の日下部篤也先生の証言も読んでみたいです! (2021年3月3日 16時) (レス) id: 67d713f823 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 製作者自身で削除したのか報告によるものかは分かりませんが、今後もしこのようなことがあった場合には、トラブルを回避するためにも報告をして頂くのが最善かと思われます。教えていただき、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました…! (2021年2月12日 12時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - あややさん» この度はご親切に報告していただき、本当にありがとうございます!あややさんが教えて下さらなかったら気付かなかったと思いますので、とても助かりました…!確認しました所、既に削除されていたものの、形跡があり完全に私の小説をコピーしたものでした。。 (2021年2月12日 12時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
あやや(プロフ) - 初コメ失礼します!唐突で申し訳ないのですが、プリ小説というアプリで作者様のパクリらしき作品を見つけてしまい。。。題名は『証言しますよ?先輩』というのですが、プロローグがほぼというか全く一緒で、、、これって報告した方良いのでしょうか? (2021年2月11日 21時) (レス) id: 6957d2b079 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - ぱーむくーへんさん» わー!ありがとうございますー!ぱーむくーへんさんのコメントににやけが止まらないです笑 純粋にめちゃくちゃ嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2021年1月8日 20時