Embodying War 【本編】 (ページ34)

今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:5,169 hit

第３３話　研修指導？５日目【九龍　空②】② ページ34

そんなこんなで湊に電車の乗り方指導をついでに頼まれた蛇永は空と二人でまさに駅前に来ていた。

にしても、どこから教えれば…

「＿＿あの、副隊長は何処からわからないんですか……？」

そう聞いた蛇永に一ミリも変わらない表情で暫くの沈黙を挟んだあと、
「…………………………全部？乗った事がないから」と答え、また蛇永の顔を真顔で見つめてくる。

そんな副隊長にたじろぎながらも、暫くするとふと何かが吹っ切れたように笑顔になって

「わかりました。
じゃあ、そうですね。
＿＿切符を買いましょうか。目的地までの道のりを乗せて貰うための運賃を支払う場所があるんですけど＿＿＿＿＿＿」

と、言いながら逐一説明していくことにした。

勿論そのあと切符を入れずに入場してしまいブザーが鳴ったり、緊急時用のボタンを押しかけてしまったり、鳥の巣を見つけたり………(？)

と、まぁまぁ様々なハプニングに見舞われながらも漸く目的の電車に乗り込こんだ蛇永と空は二人とも座らずドアの前に立って目的地まで過ごすことにした。

「………………」

「………………………」

すっっっつごい気まずい！いや今更ながら昨日機嫌損ねた気しかしない人とよく電車乗れたな俺！！我ながら凄い！！
………にしても、副隊長はなんだかもっと怖い人なんだとか近寄りがたいとかそういう人だと思ってたけど。

と、少し思いながら窓の外をいつも通りの真顔でじっと見つめる空を見やる。

なんだかなー、ここまで電車の乗り方とか知らないとなるとわりとそういう世間的なもの知らないのかな？
っていうか、だとするとこの流れる景色ーだとか電車内ーだったりとかそういうのが全部新鮮に感じられてるんだろうか。

そう思うとじっと真剣そうに窓外を眺めている空をみて

これ、窓外とか見て「すごい」、「走ってる」とか思ってたら……なんか可愛いな。

まぁ、副隊長に限ってそれは無いかなあ……

なんて一人で想像してほこほこする蛇永の隣で、
だいたい空が蛇永の想像と当たっていることを思っていたと知るのは物凄い後のお話。