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第2話 気の聞く同室者と伝言 ページ3

中庭を見渡すことの出来る廊下を歩く。
外は当たり前だが暗く、月が淡く廊下を照らし出していた。
「MP か…」
小さい、誰にも聞こえないような声でそう呟いた。

今日、纏めた本の中にもそんなものがあった。
生来人々にはHP (ヒットポイント)とMP (マジックポイント)があり、具現化することが出来る。
が、現在ではそれをする機会もなくなり具現化出来る人間はほんのわずかしか居ないそうだ。
昔母からも似たような事を聞いたことがあったな、と思っているとちょうど自分の寮の部屋へとたどり着いた。

 ドアの扉を開けると「おお、おかえり」と、同じ部屋であり、同じ小隊のメンバーである人物、倉敷 尚久(クラシキ ナオヒサ)が小説らしい本を片手にこちらにそう言って挨拶してくれる。

「ああ、ただいま。今日ずっと整理やっててさ、夕飯間に合わなかったや。」
ははっと、苦笑いしながら入ってきた命霊をニヤリと、何処か企んだ笑顔で見返すと
「実はな〜そうだろーと思ってよお」と言いながら備え付けの冷蔵庫から取っておいてくれたのか定食を一人前机の上に出してくる。

「とっておいたんでぇぇえす!!!」
「ありがとおおおお!!!!」

そう笑顔で机においてくれた定食を秒速で号泣しながら備え付けのレンジでチンすると、
尚久はあはははっと笑いながら「そのかわりー、プリンくれよな」と笑顔で交換条件を出され、結局プリンを犠牲に命霊はその定食を泣きながら完食した。

「そう言えば命霊さー、21時に来てほしいって言ってたぞ。」

片手に本を読みながらプリンを食べて満足そうな顔でそう命霊に尚久は告げた。

「………?だれが?」
「ん?ああ、上司」
????を頭に大量に浮かべたあと、青ざめ秒速で脳裏を疑問が駆け巡る。

"おれなんかしたっけ?"

"今日も仕事貰いにいってしてただけだよな?"

"?書庫にいたのが悪かったのか?"

"でもやれって言ったの上司じゃん"
etc...

パッと後ろのデジタル時計を見ると時間は20時30分。
頭が真っ白になりながらも、顔面蒼白状態で
尚久に「定食と伝言ありがとう!!!!じゃ!!!!言ってくる!!!!」
と、勢いよく言うと尚久が「あーいってらっしゃい」と言い終わるより前に扉の閉まる音が聞こえた。
取り残された尚久はゆっくり小説から顔をあげると
「あいつ、やっぱ真面目すぎよなあ…まあ、いい所なんだけど……」
と呟いた。

第3話 移動命令→←第1話 蛇永 命霊



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作者名:2%@にぱーせんと | 作成日時:2019年10月30日 11時

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