Ep.40 裏切りの代償 ページ41
恐らく傷ついたのだろうことはAにも理解出来たが、慰めや言い訳などは全くする気がなかったし、必要性を感じなかった
『もう帰るわ』
そう言うと以外にもシリウスは何も言わずに頷いて、笑ってAを見送った
＊
久方ぶりに悪夢を見た
幸せいっぱいで、卒業したって彼と付き合えると期待に胸を躍らせて
｢A、すまない。好きな人が出来た｣
『え』
目の前にいるのは今現在のシリウス
愛を囁き、愛おしげに見つめてくるシリウスだ
『だって、シリウス』
一方で私自身は、学生の姿のままなのだとなんとなく想像が出来た
声が震えている
｢すまない。いや……謝罪は無意味なんだったな｣
『違う……私、あなたのこと……好きだった。本当に好きだったの！』
過去形でしか言葉が出てこないが、それでも必死にシリウスを引き止めた
心の中では好きな人が出来たのか、そうか、という風にしか思わなかったが、何故か夢の中のAは昔の、学生時代のAのようにシリウスのことが好きみたいに振舞っている
『裏切らないって言ったじゃない！どうしてまた、裏切ろうとするの！』
｢お前だって私の弟を裏切ったじゃないか｣
その言葉に息が止まった
シリウスから姿が変わり、レギュラスがいつもの無表情の顔で突っ立っている
｢あいつには近づかない方が身のためです｣
レギュラスはそう言うとまた、シリウスに変わった
｢新しい彼女が出来たんだ。君の将来はこれで安心だ｣
やめて、もうやめて
耐えられなくなったAは勢いよく走り出し、ホグワーツのトイレへと逃げ込んだ
ハァハァと乱れた呼吸をしながら、洗面所に手を着いて鏡を見ると、そこにいたAの姿はかなり覚えがあった
髪は乱雑に切られ、酷い顔で泣いている、あの時と同じ姿だ
『っは！』
そこでAは勢いよく目を開けた
涙が流れ、心臓はバクバクと鳴り続け、息が止まっていたかのように肺に酸素が送り込まれるのを実感した
『夢……』
なんて夢を見てしまったんだ
Aは涙を拭って起き上がる
ホグワーツには嫌な思い出しかない
それは今でも変わらない事実だった
レギュラスのことを夢に見たのは誤算だった
今までずっと、あの子のことを気にしたことなんてなかったが、流石に自分の言った言葉が自分自身に返ってくるのを耐えきれなくなったのか
そう考えてAは首を振った
死んでいる人間を考えるなんて無駄なことだ、と
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Kurisia(プロフ) - ガチ泣きしました😭😭😭すごい面白かったです！ (2月25日 19時) (
レス) @page49 id: 47ec42f1a8 (このIDを非表示/違反報告)
ラマ - この小説とても面白くて出会えてよかったです！めちゃ感動しますた。😭 (6月5日 19時) (レス) @page49 id: 44de75f60a (このIDを非表示/違反報告)
まりっぷる🍏 - 凄く面白くて一気に読み終わってしまいました…､ハリーポッターのキャラクターは何処か現実味があって､そこがまた惹かれるというか…そういうのが作品に全面的に出ていて､もう…大好きです…(語彙力なくてすみません)とても素晴らしい作品でした｡ (5月21日 18時) (レス) @page49 id: 046bc6b755 (このIDを非表示/違反報告)
サンマ(プロフ) - コロクさん» お読みいただきありがとうございました。この作品を気に入って頂けて凄く嬉しいです。 (2023年4月19日 22時) (レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
コロク - 物凄く、感動してしまいました。涙が出てしまうほどです。とても素晴らしい作品でした。 (2023年4月18日 20時) (レス) @page49 id: 5bdc42e7a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンマ | 作成日時：2023年3月10日 16時
