Ep.26 ページ27
｢す、まない｣
『そう思うなら構わないで』
そう言うAの表情は学生の頃に何度か見た事があるどこか悲しげな、それでいて全てを諦めたようなそんな顔だった
｢ハリウェル、私は今でも君が好きだ｣
その言葉でAの地雷を踏み抜いたのだろうということはシリウスにも瞬時にわかった
『私を……どこまで馬鹿にすれば気が済むの』
その声は怒りで震えていた
今にも杖を出してしまいそうだ
｢馬鹿にしていない。私は…学生の頃、酷く愚かだった。Aの隣は見合わないと勝手に決めつけて、君から離れた。誰も寄せつけなくなった君を見て、これで安心だと…｣
『安心ですって？！』
言葉を遮ってAが叫ぶと、シリウスに杖を向けて壁に押し付けた
その衝撃でヴァルブルガの肖像画にかかっていたカーテンが開き、ヴァルブルガが声を上げた
シリウスは苦しさで呻き、騒動を聞きつけた騎士団のメンバーが驚いた顔で食堂から出てきた
階段の方にはウィーズリー兄弟やハーマイオニーもおり、顔には恐怖を宿している
『お前は私を陥れてその傍で安心していたのか！』
｢っそうじゃない！君には、約束された…未来があった！｣
シリウスは苦しい気道を無理やりこじ開けるようにして喘ぎながら喋った
｢ハリウェル！｣
モリーが怖々呼んだ
『お前の物差しで私を見るな！！私はお前の人形じゃない！』
そう言うとAは杖をひと振りしてシリウスを壁に叩きつけて足早にグリモールドプレイスを出て行った
残された面々は恐怖と驚きにおののきながら座り込んでいるシリウスを見つめた
ヴァルブルガが笑っている
｢シリウス、あなた……｣
モリーが青ざめた顔でシリウスを見つめた
｢モリー、肖像画を隠してくれ｣
シリウスは冷たくそう言うと、階段の中腹にいる子供たちを横切って自室へと上がって行った
部屋に入ってそうそう、椅子を蹴り飛ばすと、ヒッポグリフが驚いたように鳴いて翼を広げた
｢すまない……｣
シリウスはそう言って、また後悔したように顔を伏せた
もう何度、彼女を傷つけたか分からない
もう何度、彼女に軽蔑されたか
女の子はお人形じゃない、いつの日かリリーにも言われた言葉
分かりきっているつもりだった
だが、好きな子には幸せでいて欲しかった
『お前の物差しで私を見るな！！』
シリウスはAの言葉がどうしても頭から離れなかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 175人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Kurisia(プロフ) - ガチ泣きしました😭😭😭すごい面白かったです！ (2月25日 19時) (
レス) @page49 id: 47ec42f1a8 (このIDを非表示/違反報告)
ラマ - この小説とても面白くて出会えてよかったです！めちゃ感動しますた。😭 (6月5日 19時) (レス) @page49 id: 44de75f60a (このIDを非表示/違反報告)
まりっぷる🍏 - 凄く面白くて一気に読み終わってしまいました…､ハリーポッターのキャラクターは何処か現実味があって､そこがまた惹かれるというか…そういうのが作品に全面的に出ていて､もう…大好きです…(語彙力なくてすみません)とても素晴らしい作品でした｡ (5月21日 18時) (レス) @page49 id: 046bc6b755 (このIDを非表示/違反報告)
サンマ(プロフ) - コロクさん» お読みいただきありがとうございました。この作品を気に入って頂けて凄く嬉しいです。 (2023年4月19日 22時) (レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
コロク - 物凄く、感動してしまいました。涙が出てしまうほどです。とても素晴らしい作品でした。 (2023年4月18日 20時) (レス) @page49 id: 5bdc42e7a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サンマ | 作成日時：2023年3月10日 16時
