Ep.14 ページ15
肩の高さで乱雑に切られた髪はより一層彼女の悲壮感を引きたてている
自分に向けて馬鹿にしたように笑うと、Aはワインレッドのカチューシャを投げ捨てて踏みつけにした
何度も、何度も踏みつけて、形を保てずぐちゃぐちゃになったカチューシャを見ると、Aは力尽きたように膝から崩れ落ちた
ここがトイレだとか、汚い場所だとか、そんなものも気にならずに泣き喚いた
誰かが入ってきたら一瞬で何があったのかなんて分かってしまう
そしてそれを別の人に伝え、Aを嘲笑うのだ
｢ほら、やっぱり遊ばれていただけだ｣と
数十分か数分か、どれくらい泣いたかなど分からない時間感覚の中で、泣き疲れたAはただ静かにその場に座っていた
壊れたカチューシャはまるでAの心のようだ
Aは切られた髪の毛を便器から下水に流し、カチューシャはそのままにトイレを出ていった
幸い授業中なのか、誰とも会わないでスリザリンの自室へ戻れた
同じ部屋の子達がいないうちにAは鍵付きの引き出しを開けて、シリウスから貰ったカチューシャを全てカバンに詰め込み、ホグズミードへと駆けて行った
城を出る直前に放課後を知らせる鐘が鳴っていたので、Aの足はさらに早まった
Aは店でカチューシャを全て売ると、青い布のカチューシャを代わりに買った
シリウスへの当てつけかといえばその通りだ
今思い返せばシリウスはAをグリフィンドール生に仕立てあげようとしていたように感じる
それならば、お望みの逆を貫いてやろう
Aは散髪屋で髪を整えてもらいながら拳を握った
整えてもらっている間、余程酷い顔だったのか店員は一言も話しかけず、目を冷やす氷をくれた
けれど時々、同情のような眼差しを向けてきていたのを知っていた
それが嫌でAは切り終わればすぐさまそこを後にした
緑色のローブを着て、ネクタイを締め直し、短くなった髪の毛先を触り、カチューシャを整える
冷やしたおかげか赤みが引いた瞳は綺麗に青色を映し出している
Aの瞳にはもう何も映っていないはずなのに
人は変わるのが難しいと言われるが、そんなことは無い
心が壊れれば変わるのは一瞬だ
短髪に今まで着けたこともなかった青いカチューシャで戻ったAに誰もが何があったのかを悟る
一部の女子生徒は歓喜し、一部の女子生徒は同情し、性格の悪い女子生徒は嘲笑った
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Kurisia(プロフ) - ガチ泣きしました😭😭😭すごい面白かったです！ (2月25日 19時) (
レス) @page49 id: 47ec42f1a8 (このIDを非表示/違反報告)
ラマ - この小説とても面白くて出会えてよかったです！めちゃ感動しますた。😭 (6月5日 19時) (レス) @page49 id: 44de75f60a (このIDを非表示/違反報告)
まりっぷる🍏 - 凄く面白くて一気に読み終わってしまいました…､ハリーポッターのキャラクターは何処か現実味があって､そこがまた惹かれるというか…そういうのが作品に全面的に出ていて､もう…大好きです…(語彙力なくてすみません)とても素晴らしい作品でした｡ (5月21日 18時) (レス) @page49 id: 046bc6b755 (このIDを非表示/違反報告)
サンマ(プロフ) - コロクさん» お読みいただきありがとうございました。この作品を気に入って頂けて凄く嬉しいです。 (2023年4月19日 22時) (レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
コロク - 物凄く、感動してしまいました。涙が出てしまうほどです。とても素晴らしい作品でした。 (2023年4月18日 20時) (レス) @page49 id: 5bdc42e7a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンマ | 作成日時：2023年3月10日 16時
