Ep.10 特別な人 ページ11
Aは自分の部屋にある自分だけのタンスの一番上の段の鍵付きの引き出しを開けて、ワインレッドのカチューシャを取りだした
女遊びの噂が出回るよりもずっと前にシリウスが思いきって赤をつけろ、とくれたものだった
Aはそれを見るだけで笑みが溢れ、優越感に溺れてしまうくらいにはシリウスを好いていた
これを着けた日はシリウスの機嫌がどこかいいように見えるのもAを嬉しくさせて、恋心を付け上がらせてしまう原因でもあった
｢A、それ着けてるんだな｣
シリウスの嬉しそうな反応はいつもの事だ
『えぇ、最近気に入っているの』
誰にも邪魔されない必要の部屋でAは嬉しそうに笑う
例えシリウスがどんなに女の子と遊んでいようと、必要の部屋に来ることを疎かにされたことは無かった
足を伸ばして座っていたシリウスは胡座をかいて座り直し、Aを訝しげに見る
｢スリザリンの制服に赤は歪だな｣
『なら、脱げば問題ないわ』
Aは悪戯っ子のように笑いながら片眉を上げてそう言うと、緑色のローブとネクタイを外した
｢それで赤をつければ尚更いい｣
シリウスもニヤリと笑うと、自身が着ていた赤色のローブとネクタイをAに投げて寄こした
それを受け取って楽しそうに立ち上がると、Aはそれを着込み始めた
両方身につけたAを見上げて、シリウスは茶化すように口笛を吹く
｢グリフィンドールへようこそ｣
シリウスの言葉にAは袖が余っているローブを見つめ、肩を竦めてまた座り直した
｢グリフィンドールに入ればよかった｣
そう言うシリウスはAではなく、床を見つめながら言った
そんなシリウスを見てAはローブを脱いでその場に座り直すと、軽く息を吐き出す
『入学前にあなたと知り合っていても私は……スリザリンを選んだわ』
その言葉にシリウスはバッとこちらを見上げて、何かを堪えた顔を一瞬見せたあとすぐに笑ってだろうな、と言った
一瞬見せた表情は気のせいか、と思わせるほどだったのでAは特に気にとめずに頷いた
頷いたままAは床を見つめ、自分がグリフィンドールに入っている姿を想像する
シリウスと釣り合うとまではいかなくてもグリフィンドールとスリザリンが並んだ時よりはだいぶマシなように思えた
｢A｣
急に近くから声が聞こえ、Aは驚いて顔を上げる
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Kurisia(プロフ) - ガチ泣きしました😭😭😭すごい面白かったです！ (2月25日 19時) (
レス) @page49 id: 47ec42f1a8 (このIDを非表示/違反報告)
ラマ - この小説とても面白くて出会えてよかったです！めちゃ感動しますた。😭 (6月5日 19時) (レス) @page49 id: 44de75f60a (このIDを非表示/違反報告)
まりっぷる🍏 - 凄く面白くて一気に読み終わってしまいました…､ハリーポッターのキャラクターは何処か現実味があって､そこがまた惹かれるというか…そういうのが作品に全面的に出ていて､もう…大好きです…(語彙力なくてすみません)とても素晴らしい作品でした｡ (5月21日 18時) (レス) @page49 id: 046bc6b755 (このIDを非表示/違反報告)
サンマ(プロフ) - コロクさん» お読みいただきありがとうございました。この作品を気に入って頂けて凄く嬉しいです。 (2023年4月19日 22時) (レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
コロク - 物凄く、感動してしまいました。涙が出てしまうほどです。とても素晴らしい作品でした。 (2023年4月18日 20時) (レス) @page49 id: 5bdc42e7a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンマ | 作成日時：2023年3月10日 16時
