Ep.1 彼方の記憶 ページ2
｢A！｣
男の悲痛な叫び声が遠く聞こえる
Aは暗くなっていく視界の中で確かに泣きそうな顔をした彼を見た
彼があんなに戸惑うのを見たことがない
いつも楽しそうで、自信満々で、出来ないことは無いのだと感じさせてくれる表情を浮かべていたのに、彼の今の顔はあまりにも可哀想に思えた
愛して欲しかった
けれど、それはもう過去の感情
とうの昔に切に願った想いだった
私たちの関係はあの日の出来事を境に──
とっくに終わっていたのだから
＊
目を開けて眼前に広がるのはとても広くて圧倒される自分の部屋だ
ハリウェル家は特に有名でもないが、アメリカの血筋が混じったおかげで純血を保っている家系だった
父はアメリカの純血一族、母はイギリスの純血一族なのだ
純血主義に執着しているこの屋敷で育てられたA・ハリウェルも例外なく、マグルは迫害するもの、純血は高貴な存在だと信じてきていた
その絶対的な思考を少しだけ傾けたのが、10歳の時に婚約者と顔合わせをした時だった
最初は長男であるシリウス・ブラックが婚約者になるはずだったが、最近何を思ったのかブラック家はシリウスではなく、次男のレギュラスを婚約者に差し出した
ハリウェルに手渡すのが惜しいほどの逸材なのかと考えた両親はそれとなく聞いたが、実際は全く違った
｢長男のシリウスは穢れた血を魔法使いとして受け入れるという問題を抱えているのです｣
厳格そうなブラック夫人が忌々しげに言った
｢スリザリンに入らず、グリフィンドールに入るばかりか、思いきり楯突く始末……この際だから婚約を取りやめようと思いまして。ハリウェル令嬢にも申し訳ないですしね｣
恐ろしいほど美しい顔がAの方を向き、それに圧倒されたAは曖昧に微笑んだ
威圧感のある人はあまり好きではない
同じ空間にいるだけで気圧されそうになるからだ
しかし、そのシリウスという存在こそが婚約者として紹介されたレギュラスよりもAの興味を引き、心の内に大きな疑問を残した
なぜ彼はマグル生まれが私たちと同等なのだと思えたのだろう？
なぜ私たちと同じ魔法使いだと思い込んでいるのだろう？
一度芽生えた疑問は誰にも聞けないものだったせいもあり、どんどんAの心を侵食していったのだった
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Kurisia(プロフ) - ガチ泣きしました😭😭😭すごい面白かったです！ (2月25日 19時) (
レス) @page49 id: 47ec42f1a8 (このIDを非表示/違反報告)
ラマ - この小説とても面白くて出会えてよかったです！めちゃ感動しますた。😭 (6月5日 19時) (レス) @page49 id: 44de75f60a (このIDを非表示/違反報告)
まりっぷる🍏 - 凄く面白くて一気に読み終わってしまいました…､ハリーポッターのキャラクターは何処か現実味があって､そこがまた惹かれるというか…そういうのが作品に全面的に出ていて､もう…大好きです…(語彙力なくてすみません)とても素晴らしい作品でした｡ (5月21日 18時) (レス) @page49 id: 046bc6b755 (このIDを非表示/違反報告)
サンマ(プロフ) - コロクさん» お読みいただきありがとうございました。この作品を気に入って頂けて凄く嬉しいです。 (2023年4月19日 22時) (レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
コロク - 物凄く、感動してしまいました。涙が出てしまうほどです。とても素晴らしい作品でした。 (2023年4月18日 20時) (レス) @page49 id: 5bdc42e7a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンマ | 作成日時：2023年3月10日 16時
