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『目が見えないとそういうことは大体得意ですよ。普通の人より耳と鼻と味覚が良くなってる気がするんです』
｢そりゃまるで犬みてぇに特別な能力だ｣
ハグリッドらしい物言いにAは笑いながら頷いた
『そうですね』
Aは先日までの絶望感が嘘のように消え去っていることに気づかないほど、心が踊っていた
視力だけを代償にこんなにたくさんのギフトをもらえるなら安いものだ、と考えてしまうほどだった
駅を乗り継ぎ、ロンドンの漏れ鍋からダイアゴン横丁へ入ると、新学期までの最終日ということでそれほど人の往来は多くなかった
｢杖の店はここからすぐだ。すまねぇが、人が多いのには耐えてくれよ｣
『えぇ、もちろん』
Aは頷いて、ハグリッドとはぐれないようにしっかりと手を握った
｢学校にいる時の私服は制服に合わせたサイズでホグワーツの寮部屋に送られてるとも言ってたな｣
ハグリッドが洋服店を見て、思い出したように言った
『私は見えないから何でも構わないわ』
｢だが、あの孤児院は子供なんだと思っとるんだ。こんな古い服を着せて。お下がりだと言っていたが、お下がりとはいえ古すぎる｣
確かにAが外出するために初めて与えられた服は触っただけで質が悪い、と分かるほど古びたワンピースだった
Aは仕方ない、と思ったが、ハグリッドはその姿に酷く怒っているようだった
『ハグリッド、私は本当に大丈夫。杖を見ましょ』
｢あぁ、いや、俺は別の用事があるんだ。杖を決めるのはオリバンダーがやってくれる。いいか？｣
ハグリッドの申し訳なさそうな声色にAは可笑しそうに笑って頷いた
『えぇ、わかったわ。大丈夫。杖が決まっても勝手に出歩かないようにする』
｢あぁ、そうしてくれると助かる。ここだ｣
ホッとしたようにハグリッドはそう言うと、オリバンダーの杖店を指さして、Aを中に引き入れた
｢オリバンダー、昨日話した子だ。頼んだぞ｣
ハグリッドが店主がいる方向に大きめの声で話しかけると、奥から足音がした
｢やぁやぁ、待ちわびていたよ。こちらへどうぞ、お嬢さん｣
オリバンダーは優しい声でそう言ってAの手を引いて、椅子に座らせた
｢そいじゃ、また後でな、A｣
『うん、また』
Aはハグリッドの声がした方を見上げて、片手を上げた
もちろんその顔はハグリッドの顔を捉えていなければ、片手はゆらゆらと宙でさ迷っているだけだ
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サンマ(プロフ) - 小夜さん» ありがとうございます。盲目を書くのは私も初めてなので、表現しきれてないところもあると思いますが、最後まで読んでくれると嬉しいです！ (2023年1月3日 21時) (
レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - 盲目の夢主の小説初めてです！本当に綺麗で素敵な物語で、読みながら夢主の感じてるものがすごく伝わってきます！！シリウスの良い所もすっごく出てて大好きです！！応援してます！(: (2023年1月3日 14時) (レス) @page35 id: e0f7d925b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンマ | 作成日時：2022年9月4日 22時
