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何度拭っても流れてくる涙に、とうとうAは拭うことさえ諦めた
一体どうしてこうなってしまったのだろう
この世界に来た時は目が見えなくても、前向きに、シリウスに愛されることを目指して頑張ってこれたのに
いや、そもそも、シリウスに何もせずに愛されようと思うこと自体、間違いだったのだろうか
失明させたし、機会も与えたのだから、その上で頑張れ、ということだったのだろうか？
だとしたら、神よ
それはとんでもなく難関で分かりにくい問題だった
すると、背後からまた医務室の時のような気配を感じた
『ウィル、あなたなのね』
Aは確信を込めて言った
しばらく返事はなかったが、それでもいいとさえ思った
『ウィルじゃなかったとしても、私には見えないの』
涙で詰まった鼻声に気配は少しだけ揺らいだ
『目が見えないなんて嫌、あなたの事を見たい。他の人を見たい。リリーを、ジェームズを。どんな人達なのか知りたい。色とりどりな世界を見ているあなた達が心底羨ましい』
大粒の涙を流しながらそう訴えるAに気配は確実にウィリアムの音となって現れ、Aを力強く抱きしめた
｢ごめん。本当にごめん｣
『どうしてあなたが謝るのよ、ウィル』
Aは泣きながらウィリアムの肩に顔を埋めた
『これは私のただの嫉妬よ』
ウィリアムは首を振った
強い否定だった
｢俺はAの言う通り、ウィリアム・テイラーっていう名前なんかじゃない。シリウス・ブラックは君を嫌ってなんかいない。むしろ……嫌われるのが怖くて、何も言えなかったんだ｣
何故か本人でもないのに本人の気持ちを代弁するかのようなウィリアムにAは不思議そうに顔を上げた
もちろんウィリアムは映らない
｢俺は……俺が、シリウス・ブラックなんだ｣
その瞬間、世界が止まった気がした
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サンマ(プロフ) - 小夜さん» ありがとうございます。盲目を書くのは私も初めてなので、表現しきれてないところもあると思いますが、最後まで読んでくれると嬉しいです！ (2023年1月3日 21時) (
レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - 盲目の夢主の小説初めてです！本当に綺麗で素敵な物語で、読みながら夢主の感じてるものがすごく伝わってきます！！シリウスの良い所もすっごく出てて大好きです！！応援してます！(: (2023年1月3日 14時) (レス) @page35 id: e0f7d925b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンマ | 作成日時：2022年9月4日 22時
