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Aの家族関係は良好で、捨てられる理由なんて存在しない
さらに言えば目が見えないことがさも当然のように話しているが、Aはもともと両目共に視力は1あったはずだ
それなのにも関わらず、この女はAに対して有り得もしないことをズカズカと言ってくる
｢ただでさえ他の子供たちの世話で忙しいのに、障害者まで置いていかれたら溜まったもんじゃないわよ。次からは施設の子にやらせようかしら｣
おい、それ育児放棄と差別だぞ
言ってやりたい言葉はいくらでもあったが、頭の中のどこか冷静な部分がその言葉を弾き出した
『あの、私……捨てられたんですか？』
女が沈黙する
おかしな質問をする変な女だ、という目で見られているのだろう、ことは容易に想像が着いたが、Aは女の答えを粘り強く待った
｢A、あんたに残されたのはそう書かれた手紙だけ。職員が私しかいない小さな孤児院に置いていくような親だ。きっと相当、あんたのことが嫌いだったんだろうね｣
『それって私が何歳の頃です？』
Aは思わず続けて聞く
｢今日のお前、よく喋るね。今更両親のことでも気になりだしたの？無理よ。ここに置いていって後で迎えに来る親なんて1人もいないんだから｣
女は馬鹿にしたように鼻で笑いながら言った
｢あんたが何歳とか知らないから。でも、幼児くらいではあったね。幼児が何か分かってればあんたが何歳くらいに来たかも分かるでしょうね｣
つまり、教える気は無い、ということだ
目が見えない、点字本もないだろう、この施設に幼児、というものを知る術は彼女にはない
だが、Aは元々目が見えていて、一般教育を受けていたため、幼児が何かを知っている
幼児の頃は両親に育てられた記憶がしっかりあるし、なんなら16歳の今でもずっと一緒だ
｢それじゃ、いつも通り食事はここに置いておくから勝手に食べなさい｣
女はそれだけ言うと、どこに食事を置いたのか言いもせずに部屋を立ち去った
『本当に育児放棄じゃない』
Aは批判を混じえた声色で呟く
そして、ようやく思考の整理がつき、確信した
つまり、ここは、違う世界だ
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サンマ(プロフ) - 小夜さん» ありがとうございます。盲目を書くのは私も初めてなので、表現しきれてないところもあると思いますが、最後まで読んでくれると嬉しいです！ (2023年1月3日 21時) (
レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - 盲目の夢主の小説初めてです！本当に綺麗で素敵な物語で、読みながら夢主の感じてるものがすごく伝わってきます！！シリウスの良い所もすっごく出てて大好きです！！応援してます！(: (2023年1月3日 14時) (レス) @page35 id: e0f7d925b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンマ | 作成日時：2022年9月4日 22時
