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しばらくうっすら聞こえる外の喧騒に耳を傾けていたが、ようやく汽車が出発すると、廊下を走る上級生の声や、カエルチョコレートを探す賑やかな音、新入生が自己紹介をする控えめなお喋りが聞こえてきた
Aは今まで全く考えもしなかったことがふと、頭によぎった
魔法が使える子は障がいを治してしまう
だからこそ、治せなかったAが学校でどう見られるか、この時代、心無い生徒が多い中でどう接されるか
目が見えない人と友人に、ましてや話しかけようとする生徒がいるのかさえも分からない
点字なんて分からなければ、教科書の内容なんて見えやしない
Aはようやくその考えに至って、汽車の中で憂鬱なため息を吐き出したのだった
今どんな景色かさえ分からない自分にも……
＊
汽車がホグワーツのある駅で止まると、みんなが降り出した
Aも荷物をそのままに汽車を降りる
少し遠くからハグリッドの声がし、Aはそこへと歩いた
目を閉じて歩く生徒なんているわけが無いので、注目を浴びていることは分かった
上級生はAが通り過ぎればコソコソ話し出すし、下級生は本当に魔法が使えるのか？という訝しげな目をAに向けた
｢いっち年生はボートに乗るぞ！｣
ハグリッドが大きく叫べば、ボートに乗るのが初めてな1年生はザワザワと嬉しそうなざわめきを上げた
｢ねぇ、あなた、こっちに来て｣
手袋に従ってボートの順番を待っていたら、横から女子生徒に手を引かれた
近づいていたのは分かっていたが、まさか手を引かれるとは思っておらず、Aはとっさに踏ん張った
｢あっ、ごめんなさい！ボートが来たから私たちと乗りましょ？｣
その声に悪意は感じられず、確かにボートから早く行こう、という女子生徒を急かす男子生徒の声がした
『ありがとう』
｢いいのよ。ここ段差があるわ｣
女子生徒に手をゆっくりと引かれてAは不安定なボートに乗り込んだ
急かしていた男子生徒がこちらを振り返って見ているのが気配でわかる
実際、男子生徒は嫌そうにAを見ていたし、女子生徒はAの隣に乗り込んで、男子生徒の不躾な態度に首を振ってたしなめた
｢私、リリー・エバンズ。あなたは？｣
急に現れた主要人物にAはひっくり返って湖に落ちる自分を瞬時に想像し、それから驚きを表に出すことなく左にいる女子生徒の方を振り向いた
『私はA・メイフィールド。改めてありがとう、リリー』
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サンマ(プロフ) - 小夜さん» ありがとうございます。盲目を書くのは私も初めてなので、表現しきれてないところもあると思いますが、最後まで読んでくれると嬉しいです！ (2023年1月3日 21時) (
レス) id: e98e7ad213 (このIDを非表示/違反報告)
小夜 - 盲目の夢主の小説初めてです！本当に綺麗で素敵な物語で、読みながら夢主の感じてるものがすごく伝わってきます！！シリウスの良い所もすっごく出てて大好きです！！応援してます！(: (2023年1月3日 14時) (レス) @page35 id: e0f7d925b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サンマ | 作成日時：2022年9月4日 22時
