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「・・・じゃあ家まで送る。住所教えて?」
「嫌です。もうここで降ろして、」
まだ抱きしめられたままでいるから、腕の中から出ようと体を動かす。
「あ、待ってA」
抵抗したって、いくらこの人が華奢に見えたって、やっぱり大人の男のひとだ。
その腕に力を込められてしまえば、私の体はそこから抜け出せない。
「A・・・、震えてる」
人を誘拐みたいなことして、無理矢理こんなことまでしておいて、よくそんなこと言えるな・・・。
自分で怖がらせておいて、何言ってるんだろうこの人・・・・・。
「本当に・・・頭・・・・、おかしいんじゃないですか」
そう思うのに、私はこの意味不明で失礼で非常識で、まだ会ってたった二回目の赤の他人に、黙って抱きしめられている。
腕の中で、胸の中で体の震えが止まっていることに気が付く。
体が動かせなくて抗えなくて、目を閉じてしまう。
「A」
鼻に纏わりつく、香水の匂い。
たった一度で覚えたこの匂いが、もう私の心に染み付いてしまっているだなんて、笑ってしまう位に滅茶苦茶な話で。
「A、俺のこと、好きでしょ?」
頭がおかしいのは、私の方かもしれない。
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ma(プロフ) - 続きが読みたいです!!よろしくお願いいたします。 (2023年3月7日 9時) (レス) id: cb1a0ddf39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EM | 作成日時:2017年3月11日 1時