愛の名のもとに (ページ49)

今日:15 hit、昨日:0 hit、合計:94,378 hit

49 ページ49

.

駅で北山くんと別れて、家に着くとまた携帯が鳴るから無視をする。

シャワーを浴びて、寝る支度をしているとまだ鳴るからサイレントモードにしようと思って携帯を手に取ると『横尾さん』と画面に映るから通話ボタンを押した。

「・・・はい？」

一瞬間を置いて「え、なんで！？」と声が響くから思わず携帯を耳から離した。

「なんで渉だと出るの！？」

しまった、このパターンは、考えてなかった・・・。

そう思いながら、携帯を耳に戻すと「太輔、うるさいよ」って言う横尾さんの声が後ろでする。

「Aなんで？ねえ？」

どこかいつもと様子が違うし、後ろで人が騒いでるような声が聞こえるからどこかで飲んでるのかもしれない、そう思って呆れながら返事をする。

「ごめんね。もう、いい？切るよ」

待って！！とまた喚くから、本当に面倒くさいなと思いながらどうしようかと考えていると、横尾さんが電話を代わった。

「橘さんごめんね。お願いがあるんだけど」

電話を切って、電気を消して布団に入り目を瞑ってもなかなか寝付けなかった。

『会ってやって欲しい。お願いします』
『太輔、ここんとこまともに睡眠とれてないんだ』

私は何も関係無いし、断る事だって出来たのに。

「ああ、もう・・・・・。」

眠れないのは、私だって同じなのに。

.