愛の名のもとに

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「理子ちゃん・・・これ・・・」



更衣室に入ると、壁に貼られた見覚えのある顔と目が合うから思わず後ずさりをする。


「部屋に三枚も貼ってたらさすがに彼氏に怒られちゃって、連れて帰ってきたっ」


なんか大きくて恥ずかしいねって笑う理子ちゃんを見て苦笑いをする。


「玉森くんのも来たんだよ、あっ、これこれ」

「・・・玉森？」


若い女の子をターゲットにしているらしいスパークリングワインで、藤ヶ谷太輔がポスターに写っている方はピンク色のストロベリーロゼだったけど、また別の種類が新しく発売されたらしかった。

理子ちゃんがポスターを広げると、黄色い背景に、同じように肩が露わになってる男の人が微笑んでいる。


「Aちゃんはどっち派？藤ヶ谷太輔と、玉森裕太っ」


悩めるなぁって言いながら、既に貼ってあるポスターの横に黄色い方を並べる。


「・・・もしかしてAちゃん、FT知らないの！？」


理子ちゃんがずっと黙っていた私の方を振り返って、しまった、みたいな顔をする。


「ご、ごめん・・・」


申し訳なさそうに言うと、理子ちゃんもごめんごめん、と笑う。

FTっていう二人組のグループで、ダンスも歌も超かっこいいんだよ、超人気でライブのチケットも全然取れなくて・・・って楽しそうに言いながら、悪びれる様子もなく新しいポスターをまた壁に貼った。



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