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「ガヤー、今日あるけど、行く?」
楽屋で携帯のゲームをしながら話しかけてくる玉に「行かない」と返す。
「なんで?先約アリ?」
予想外の返事だったのか、ゲームをやめて携帯をテーブルに置くとこっちを見ながら玉が聞いた。
業界人限定の、会員制のパーティーみたいなものが定期的に開かれていて、俗にいうプライバシーが守られてる、芸能人でも余計なトラブルの心配をしなくて済む出会いの場みたいなものだった。
「ガヤどーしちゃったの?あ、遊びすぎだってまたわったーに怒られちゃった?」
いやそれは今に始まったことじゃないよな・・・と玉が一人でぶつぶつ呟く。
「・・・あ!わかった!例のガヤさんでもオトせないセクシー女優だ!?」
指をパチンと鳴らして、俺に向かって指をさしながら立ち上がり大きな声で言った。
「玉・・・そういうこと大きい声で言うと、」
言い終わらないうちに楽屋のドアが開いて、渉が入ってくると鬼の形相で唸った。
「玉森ぃ・・・・」
ほらね、と玉に言って視線をまた携帯に戻す。
「わったー、地獄耳すぎじゃね?」
ウケるーって言いながら笑ってる玉と「そういう言葉遣いも直せっていつも言ってるだろ!」って怒ってる渉を横目に、携帯の液晶に浮かぶ番号を指でなぞりながらため息が漏れた。
「はあ・・・。」
ほらやっぱり恋の病!って玉がこっちを見ながら言うから、玉だって地獄耳じゃん、そう思いながらまた溜息をつく。
玉森ー!って叫びながら渉が玉を追いかけて、玉は楽屋の中を子供みたいに逃げ回りながら楽しそうに笑う。
今日も平和かよ、と二人をぼーっと眺めながら微笑みそうになるのに、やっぱりなぜか溜息をつきたくなる。
そっか、こんな感じなのか、と、他人の事みたいに、ぼんやりと思う。
「・・・A」
ゆっくり、だけど確実に俺を蝕んでいく、恋の病。
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ma(プロフ) - 続きが読みたいです!!よろしくお願いいたします。 (2023年3月7日 9時) (レス) id: cb1a0ddf39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EM | 作成日時:2017年3月11日 1時