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急いでお店に戻ると、もう入口のドアは閉まっていたから裏口から中に入った。
店の片付けをするマネージャーと目が合って申し訳ないような顔を作る。
「・・・すいませんでした」
「Aちゃん、今日はもう戻ってこないかと思った」
「え?」
歯切れが悪く言うマネージャーの顔を見る。
「いや、いいんだよ。常連さんだし、あの人は・・・、ね」
当然怒られるかと思ったのに「もう帰っていいよ」と言われたから着替えて店を出た。
駅まで歩いていると、スクランブル交差点で信号が赤になり立ち止まる。
本当にさっきもここにいたのかな、もしかしたら仕事中に居眠りでもして見た夢だったのかもしれない、それにしても意味の分からない夢だったな、なんて考えながら、ふと顔を上げると背の高いビルに取り付けられている大型スクリーンが目に入った。
「・・・・・んんん!?」
大画面の中で、流行りの音楽に合わせて歌ったり踊ったりウィンクしている二人のうちの一人が、ほんの小一時間前にここに居た人物の顔と瓜二つで思わず声が出る。
やっぱり夢だったんだ。
そうだ。
だから見たことあると思ったんだ。
名前は知らないけど顔はなんとなく知っていたし、きっとテレビとかで何気無しに見ていたから無意識の内に夢に出てきてしまったんだろう。
早く帰ってさっさと寝よう。疲れているのかもしれない、そう思いながら改札を通り過ぎて、ホームに到着した電車に乗り込んだ。
通勤ラッシュ前には間に合ったけど、ぽつぽつと空いている座席に座る気にはならなくて、ドアの側に立って壁に寄りかかりながら窓の外を眺めていた。
次の駅で、電車が丁度目の前のホームの壁に貼られた広告の前に停まると、閉じかけていた瞼が勢い良く開く。
「・・・・・っえええ!?」
そこにはまたもや同じ人物が写っていて、アップになった横顔に添えられるその指には、間違いなくさっき見たのと同じホースシューリングがはっきりと着けられていた。
つい大きい声が出てしまって、周りの乗客の視線を感じると恥ずかしくなって下を向いた。
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ma(プロフ) - 続きが読みたいです!!よろしくお願いいたします。 (2023年3月7日 9時) (レス) id: cb1a0ddf39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EM | 作成日時:2017年3月11日 1時