愛の名のもとに (ページ12)

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「んーーー！美味しいっ」

背の高いビルが建ち並ぶ中に、噴水や木が並び小さな公園のようになっている一画があって、そこにあるベンチに座りお昼ご飯を食べていた。

「ほんと美味そうに食うよなー、橘さん」

外で食べるといつもより美味しい気がする、そう言いながらおにぎりの最後の一口を頬張ると、北山くんが笑う。

「俺は橘さんと食うメシが一番美味いけど」

え？って返すと、呆れたように笑ってお茶を一口飲んだ。

「最近元気じゃない？なんかあった？」

北山くんの質問に、私って最近元気だったのかなって考えていると「橘さん？」って呼ばれるから我に返る。

「え、そうかな？」
「うん。なんか、楽しそう」
「今は楽しいよ。北山くんとご飯食べてるから」

あとは少し休めてるからかな、そう答えて、ゴミをビニール袋の中にまとめた。

「今日は一日休み？」
「ううん、今日は夜バイト」

北山くんが腕時計を見て、あーもう終わりか、って残念そうに言う。

「休みだったのにわざわざお昼付き合ってくれてありがとね」

「ううん全然。お店に用事もあったから。ご馳走してもらっちゃったし。こちらこそありがとう」

オフィスに戻る北山くんと別れると、振り返りながら「次はディナーね！」ってこっちに向かって大きい声で言うから可笑しくて笑った。

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