36 ページ36
+
じゃ行くか、と扉に手をかける彼を呼び止めた。
「風磨くん」
「ん?」
「今日何食べるって話しながら一緒に並んでスーパーで買い物できなくても、こうやって事前に何食べたいか話せばいいし、別に私スーパーの袋ひとりで持てるから。
秘密のお付き合いでこそこそしないといけないのも窮屈だなんて思ってないよ」
なんだか急に伝えたくなって話しかけたのはいいが、まとまりのない感じになってしまった。
「えっと、だからその…会社で目が合わなくても、風磨くんのことは大好きだから。
それを、伝えておこうと、思って…」
「え。会社じゃなかったら抱きしめてるんですけど」
と言いながら抱きしめてきた。
「いや、もう抱きしめてるじゃん!
誰か来たらどうするの!」
彼の腕から逃れようともぞもぞするが
「鍵かけてるから大丈夫」
と言って離してくれなかった。
彼は私をひとしきり抱きしめたあと
「今日帰ったら家でAちゃんが待ってくれてると思えば、今からの仕事も頑張れるわ」
とやる気に満ちている様子で、私としてもそれは何よりだ、と思う。
「うん。頑張ってね。
あ、今日はブログ更新しないの?締切まであと2時間だよ?」
「やべ!する!移動車の中で原稿考えて送るね」
「わかった。ここ、ちょっと時間差で出ようか?」
「だな。俺先出るね」
扉を開ける前に私の方に振り返る。
「これからは待ち合わせが俺の家になるの、まじで付き合ってる!!って感じじゃね?」
嬉しそうにそんなことを言う彼に
「ふふ。そうだね。まじで付き合ってる!!って感じ」
少し彼の口調を真似して返すと、風磨くんは、それ俺の真似〜?と笑いながら手を振る。
これから続いていく私たちの未来にいつも笑顔がありますように。
アイドルとしてお仕事に向かう彼を見送りながら、私は手の中の合鍵をそっと握り締めた。
+完+
766人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にこ(プロフ) - こうこさん» コメント気づかずすみません!私もリアル設定大好きです〜♡いいですよね♡楽しんでいただけたようで光栄です。こうこさんはお話の続きは書かないのですか?お話思いついたら別のお話でもいいので連載してほしいです🥹 (12月16日 21時) (レス) id: aba4acfcad (このIDを非表示/違反報告)
こうこ(プロフ) - 私も少しだけ書いていますが、リアル設定大好きです♡とっても楽しくキュンキュンさせてもらいました♡またリアル設定お願いします♡ (11月29日 20時) (レス) @page37 id: 65539e8dba (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 葵さん» きゅんきゅんしたという感想はめっちゃ嬉しいです☺️書いてよかったなと思います。楽しんで頂けたようで安心しました!最後までお付き合い下さりありがとうございました♡ (10月13日 19時) (レス) @page37 id: d06ef4e68f (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 最後まで楽しませていただきました😆きゅんきゅんが凄かったです!本当に尊敬です🙏更新お疲れ様でした!! (10月13日 16時) (レス) @page37 id: b646f7c03f (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - yukiさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます🥺最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります!コメントありがとうございました💕 (9月30日 12時) (レス) id: d06ef4e68f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:にこ | 作成日時:2023年9月24日 12時