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約束した日に会社の駐車場で待ち合わせて彼の車に乗り込んだ。
おつかれ、と挨拶したあと
「俺、ハンバーグの気分」と菊池さんが言う。
「じゃあそうしましょうか。また頼むんですか?」
「一緒に作らない?Aちゃんがよければ、だけど」
「いいですよ。作りましょう。でも材料はあるんですか?」
「ごめん。ない。だからスーパー寄って俺の家に帰ろっかなって」
「わかりました。じゃあ今日のメニューはハンバーグですね」
彼の家から近いスーパーの駐車場に着いて作戦会議をする。
「俺が行くか」
「いえ、ここは私が。
バレたら大変ですし、買うものもわかるのですぐ済むと思います」
「そか。じゃあお願いすんね」
「はい」
「飲み物は家に色々あるから、食材だけよろしく」
「了解です」
スーパーの中を歩き回り必要な食材をテキパキとカゴに入れていく。
玉ねぎ、ひき肉、パン粉…
サクサク会計を済ませてそんなに大きくはないレジ袋を持って彼の待つ車へ戻ってきた。
「お待たせしました」
「いや。買ってきてくれてありがとう」
「おいしいの、作らないとですね」
「たのしみ〜」
ウキウキな声と共にエンジンがかかった。
部屋に上がりさっそく夕食の準備に取り掛かる。
「ふたりで並んで料理とかめっちゃよくね?」
隣から嬉しそうに言われて、私は素直に、そうですね、と言った。
私の作業する隣で彼はサラダ用のレタスを洗っている。
「よく料理はするんですか?」
炒め終わった玉ねぎをひき肉と共にボウルに入れる。
「さすがに毎日は作らないけど、する時はするね。でもふつーに帰ってくるの遅くて時間的に無理な日も多いし」
「お忙しいですもんね。ほんと、体、大事にしてくださいね」
「俺が倒れたら、Aちゃんが看病してね」
いつかも同じことを言われた。
でも私の返事はあの時とは違う。
私は、はい、とうなずいた。
私の答えに彼の手が止まったのがわかったので
「マネージャーさんにも連絡しますけど」
と付け加える。
「…今の、まじで?」
「はい。自分にとって大切な人が倒れたら駆けつけるに決まってるじゃないですか」
核心に触れるような発言はしたけれどそこまでで、私は卵とパン粉もボウルに合わせて肉をこねはじめた。
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にこ(プロフ) - こうこさん» コメント気づかずすみません!私もリアル設定大好きです〜♡いいですよね♡楽しんでいただけたようで光栄です。こうこさんはお話の続きは書かないのですか?お話思いついたら別のお話でもいいので連載してほしいです🥹 (12月16日 21時) (レス) id: aba4acfcad (このIDを非表示/違反報告)
こうこ(プロフ) - 私も少しだけ書いていますが、リアル設定大好きです♡とっても楽しくキュンキュンさせてもらいました♡またリアル設定お願いします♡ (11月29日 20時) (レス) @page37 id: 65539e8dba (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - 葵さん» きゅんきゅんしたという感想はめっちゃ嬉しいです☺️書いてよかったなと思います。楽しんで頂けたようで安心しました!最後までお付き合い下さりありがとうございました♡ (10月13日 19時) (レス) @page37 id: d06ef4e68f (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 最後まで楽しませていただきました😆きゅんきゅんが凄かったです!本当に尊敬です🙏更新お疲れ様でした!! (10月13日 16時) (レス) @page37 id: b646f7c03f (このIDを非表示/違反報告)
にこ(プロフ) - yukiさん» こちらこそお読みいただきありがとうございます🥺最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります!コメントありがとうございました💕 (9月30日 12時) (レス) id: d06ef4e68f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にこ | 作成日時:2023年9月24日 12時