美しい部屋【Fuma】

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パソコンに向き合っていると後ろから話しかけられた。


「ごめん、池田さん。
ウェブの締切って何時までだっけ？」


振り返ると菊池風磨さんが私の後ろに立っていた。


「18時です」
「ですよね〜」

その返事を聞きながら、彼のブログである刹那ルのページを開いて見てみる。


「あ〜この間18時以降に提出しました？
日付、翌日にずれちゃってますね」

「そうなのよ」


私の後ろから机に手をついて、私の机のパソコンを見る。
近づかれるとあまくていい香りがした。


「俺、自分でブログの中に日付入れてんだけど、更新日は翌日になっちゃってて」

「ですね。仕方ないですね。
提出してもらってチェックして反映するのにいくらか時間いただいてるので。
それ以降は受け付けられなくて翌日に回っちゃうんです。
時間までに出してもらえたらちゃんと当日付けで投稿されますよ」

「ん。わかった。がんばる」

「無理ない程度に」

「だよね」

「でも、更新があったらファンの子は喜ぶと思うので、がんばってくださいね」

「たった一言でもハート押してくれるもんね。
ほんとありがたい」


「それが芸能人ですよね」とうなずく。

「一般人が夏が、夏が…なんて言っても、スルー案件ですよ」

「いや、それ俺のブログの内容軽くディスってね？」

「ディスってないですよ！
私も夏好きですし。終わるの悲しいです」


「まじ？じゃあなんかする？夏楽しんじゃう？」

「いえ。私夏は好きですけど暑いのは無理なんで」

「んだよ〜。
まぁいいや、じゃ明日から締切間に合うように原稿出すね」

「よろしくお願いします」

「つかれ〜」手をひらひらさせて去っていく。

「おつかれさまでした」







私はジャニーズwebのシステムを管理する部署で働いている。

タレントも先ほどのように自由に出入りできるので、事務所のタレントが訪ねてくることは珍しくない。

話すことには慣れるけれど、やっぱり直接話すとみんなかっこいいな、とは思う。


社員の名前を覚えてくれるタレントもいれば、名前ではなく、すみません、と呼んでくるタレントもいて、正直私たち下界と雲の上の人っていう認識だから、どう呼ばれようと構わないんだけど、菊池さんは名前を呼んでくれる人。

いい人だ。偉そうだったり傲慢な感じもない。
むしろフレンドリー。




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