【氷と炎】⑨数原龍友 (ページ38)

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「あ、ごめん、邪魔した？」

僕の姿に驚きもせず

嬉しそうにしてくれるわけでもなく、邪魔をしたかどうかの確認。

「ええよ、大丈夫」

何事も無いような感じに返した僕の返事に"そう"なんて短い返し。

シャワー浴びた後なのか、ラフな格好で髪が少し濡れてて……

あんまこういうオフな感じ他の男に見せたくないねんけど……なんてNEOさん相手に言えるはずもなく。

しかもAはあんま僕の事気にしてへん感じで、そのままNEOさんになんか仕事の話を始めた。

「……って、ちょい待って」

まじめな話してる最中にほんまごめんやけど

あかんわ、これ。

「A、指輪は？」

さっきまでAの右手の薬指に納まってたあの指輪。

皆に重い重い言われたあれ……なんでしてないねん。

言われてNEOさんの視線もAの指に……

Aも自分の右手を見るけど、なんも言わへん。

そのまま仕事の話に戻ろうとするAに思わずカチンときてもーて。

「もうええわ」

つい、言い捨ててしまう。

ピリッとした空気を一番どうしようかと考えてるのはNEOさんで

Aはいつもと同じように表情すら崩さへん。

「帰ります」

NEOさんにそう告げて、来たばかりの部屋をもう出た。

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