【氷と炎】⑰数原龍友 (ページ11)

今日:18 hit、昨日:37 hit、合計:42,892 hit

811 ページ11

◇

しばらく待ってAが僕の所に戻ってくる。

｢お待たせ｣

｢帰る前に飯食ってく？｣

僕の傍に来たAがホンマに幸せそうに笑うから、ついつられて僕も涼太も微笑んでまう。

なんやろな、人を無意識のうちに笑顔にできるやなんて凄いパワーや。

｢お腹空いたから、何か食べたいし飲みたい｣

｢また酒か！｣

僕にツッコミ食らっても笑って誤魔化すAには結局絆されて、涼太も連れて3人でA希望の焼き鳥屋へ向かった。

｢僕、この仕事する前焼き鳥屋で働いてたんやで｣

銀座の焼き鳥屋で、尼崎の焼き鳥屋のことを思い出す。

だいぶお世話になったあの場所は僕にとったらある意味実家みたいなもんで、何かあると必ず報告してたし相談もしてた。

｢今度連れてったるな｣

｢楽しみにしてる｣

4人がけのテーブルに僕と並んで座ったAと、その向かいに座る涼太。

”とりあえず日本酒で”とか言ってるこの人に苦笑いしながら、僕のチョイスでフードのオーダーも通した。

｢で、明日は水着買いに行くんだって？｣

おしぼりで手を拭く涼太が、”いいなー、旅行”って心底羨ましそうに呟いた。

･