幻みたいな君は友達 (ページ24)

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飾り付けられた教室のドアの前、
何をするでもなく、ソワソワと髪をいじる。

前髪、変やないかな。
スカート短くしすぎてへんかな。
いつもは一回しか折ってないスカートを、今日は二回折ってみた。

見回り以外でこうして待ち合わせるのは、今日が初めてだから、なんだか変に緊張してくる。

今日が初めてで、たぶん今日が最後やから余計に。

そうやってソワソワしとる私にクラスメイトたちが「小島なら中庭におったで〜」とか「あれ小島と一緒ちゃうん？」とか、そんな声をかけてくるたびに、大袈裟なため息をつきながら彼を待つ。

(もう一回トイレで髪直してきた方がええかな、
クラスTシャツで来るのはやっぱりあかんかったかな)

そんなことを考えながら、長尾くんを待つ。

時計の針が12時を示す少し前、
人でごった返す廊下の向こう側から、小走りでやってくる人影が見えた。

目が合ったような気がするけど、もしかしたら気のせいかもしれん。

手を振ってもええんかな、向こうは気付いてないかもしれへんし。

私って、こんなに奥手な人やったかな。

長尾「——A先輩、！」

そんな益体のない私の悩みを振り払うみたいに、長尾くんが大きく手を振って、私の名前を呼んだ。