【私の願った希望】 (ページ8)

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3話ページ8

『…これ、なーに？』
互いに置かれたトレイには湯気たつ白ご飯に、具沢山な味噌汁。ほうれん草の胡麻和え。焼き魚といった固定的な和食だ。

何を隠そう雲雀お手製だ。カルラが箸を取らずジッと見つめているのに気づき「食べないの？」と尋ねた答えが冒頭の通りだ。

「今まで洋食しか食べたことないの？」
『ヨウショク？』
「からかってるのかい。」
『(フルフルフルッ)』

…嘘をついてはいない。どこかの箱入り娘かそれともただの世間知らずか。普通ならその二択だが、あの並外れの再生力は異常だ。

「…君の家はどこにあるの？」
『分からない。』
「虐待でもされてたの？」
『ギャクタイ？』
「身体的な暴力をふるったり、暴言を浴びせたりすることだよ。」
『分からない。

……なんか、この辺がぽっかり穴が開いているみたいで気持ち悪いの。』

ちょうど、心臓部に手を添える。否、心臓に穴が実際にあるわけでもなく精神的な表現だと。
”記憶喪失”

肉体的、精神的な膨大なストレスによるもの。もしくは自分が与えた”後頭部へのショック”によるもの。
確率としては後者がもっともだが、前者の場合も有り得る。

彼女の服を着替えさせた時にあったのは(もちろん目を逸らしながら)切傷、火傷痕、打撲痕など惨たらしい深い傷痕。そして極度な栄養失調だ。
正直立っているのが不思議なくらい何ヶ月も食事をしていないのが見て取れる。

(まぁ、拾ってきたからには責任は僕にあるわけだし。しばらくは様子を見る必要があるね。)