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side:hokuto
暗く、静まり返った院内を歩く。
何度か館内図を眺めて角を曲がると、ぼんやりと灯りの着いた部屋に辿り着く。
扉を開けたが、そこにいるはずの人物の姿は無い。
机の上に頼んでおいた桶が用意されている所を見ると、恐らく一時的に席を外しているだけだろう。
手探りながら準備をし、彼女に視線を投げる。
疲弊しきっているのか、いつもは油断など一瞬たりとも見せない彼女がぐったりと座っている姿をみると、同情なのか劣情なのか曖昧なものに支配される。
正直、あのタイミングで樹に会われるのは想定外だった。
…と、思考を巡らせた瞬間、
間抜けな電子音が鳴る。
人肌より少し温いくらいのお湯で満たされた桶を持って、ぼんやりと一点を見つめる彼女に跪く。
北斗「靴、脱いで」
A「え、いや…自分で出来ます」
北斗「今更強がんな、」
車内もそこそこ暖房を強めに効かせていたつもりでいたが、掴んだ足首が氷のように冷たくて一瞬手を引きそうになる。
A「っ、…痛、」
北斗「沁みるだろうけど我慢して」
足先の霜焼けと酷い靴擦れの傷から流れる血液で赤くなる足をお湯に浸けたその瞬間、部屋の扉が開けられた。
優吾「人の職場に女の子を連れ込まないで下さーい」
この病院の持ち主で、先程の電話の相手。
北斗「そういうのじゃねぇよ」
優吾「どーだか、笑」
嫌味っぽく笑う姿は幼少期から変わらない。
幼馴染であり、ビジネスパートナーでもある彼の名前は�眞詫ジ磧�
今や大小様々な分院を持つ、有名精神科病院の本院理事長。
本人も診察やテレビ番組に出ており多忙な故、滅多にClub Hysteriaには顔を出さない。
更にそれよりも忙しい'副業'があるらしいが俺らには一切明かそうとしない。
我が幼馴染ながら謎の多い男だ。
さて、幼馴染と悪態突き合う為に態々こんな所まで車を飛ばしたわけではない。
視線を彼女に戻す。
北斗「…知ってんだろ。紹介するまでもないよな」
A「っ、」
優吾「え？何この子俺の事知ってんの？」
俺の発した言葉の意味する事を理解した彼女の瞳が揺れる。
それでいい。俺に揺振られろ。
そして、君の全部を俺に見せて欲しい。
…なんて、ありがちな安いドラマみたいな事を思った自分に思わず嘲笑が漏れた。
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七星のあ - あおさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます☺︎ご期待に添えるように頑張ります。 (2022年11月29日 23時) (
レス) id: 0371497e5e (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - モチーフになった曲も大好きなので、こういう作品読みたいと思ってました！！見つけられて良かったです☺️☺️楽しみにしてます。 (2022年11月28日 0時) (レス) id: 0c466d2450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：七星のあ | 作成日時：2020年7月10日 8時
