自分を恐れる少女がみんなに愛される話 (ページ7)

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心を包む声(昔の話) ページ7

お館様「律…君のお父さんはね、鬼舞辻無惨という男なんだ。彼は僕の一族の者でね。だから君は僕の家族なんだよ。」

優しく心を包む様な声。お館様の声は私の死にたがっていた心を救ってくれた。

私の父は鬼らしい。人間との間にできた子供が私なのだという。

つまり私は半分鬼の人間。

私が陽の下に出るとくらくらしたり体力が落ちるのも夜になると身体能力が向上するのも鬼の血によるもの。

鬼舞辻無惨は陽の下に出られるようになりたがっているらしく私の存在を知れば恐らく狙って来る。

だから出来るだけ私の存在を鬼舞辻から隠す。そのために私はこれから鬼滅隊の本部で生活することになるのだという。

お館様「君の祖父さんは君の事を嫌ってなんかいないよ。彼は気が動転しているだけだ。妻も子供も先立ってしまったショックでね。鬼に襲われた記憶を忘れれば立ち直る事が出来るかもしれない。でも君が祖父さんに忘れて欲しくないと思う気持ちがあるのなら勝手に記憶を消したりはしないよ。」

『………。』

優しかったおじいちゃんとおばあちゃん。私に愛を教えてくれた。

大事な事を全部教えてくれたのは2人だった。

『祖父の記憶を消して下さい。』

愛する娘に先立たれ、最愛の妻を鬼に殺され、そのうえ自分の愛する娘が鬼との間に子供を作っていた。

そんな記憶を残しておいてこれから先おじいちゃんが幸せになれるはずがない。

おじいちゃんは私の事を忘れた。以前のように優しく笑うようになった祖父を見て私は安心した。

これでいい。これでよかったんだ。