自分を恐れる少女がみんなに愛される話 (ページ16)

今日:2 hit、昨日:14 hit、合計:145,908 hit

好きになれない理由ページ16

禰豆子は外を出歩けるのが嬉しいのかすごく目を輝かせていた。そして律の手を引き花畑までやって来た。

夜の空気はひんやりとしていて目を閉じて肺いっぱいに取り込むと体の隅々まで行き渡って感覚が研ぎ澄まされていく。

きっと私の身体に合うのだ。

夜が私の見方をしてくれるのは
私の体を流れる鬼の血のせいなのだろうか

禰「む？むー！むっ！」

私が不安そうに見えたのか禰豆子が心配した顔をする。

心配させないようににこりと微笑むと禰豆子も嬉しそうに笑った。

『禰豆子ちゃん…』

鬼の血が流れていても

人の心を持つ禰豆子なら

打ち明けられるだろうか。

『私お館様からあなたの話を聞いた時、本当は怖かった。』

禰豆子は黙って律を見つめている。

『私も禰豆子ちゃんと同じで鬼の血が流れてるの。』

『私は自分が怖い。こんな自分が愛されないのは当たり前だから私は人に愛される事をもう諦めてた。それで強くなれた気でいた。』

禰「………。」

『この身体に鬼の血が流れてる。それがおぞましくてしょうがない。自分自身が憎くてしょうがない。こんな私が側にいてまた大事な人を不幸にしてしまうのが怖い。だから自分の力を…鬼の力を…私は拒絶している。』

『でも禰豆子ちゃんは私とは違う。鬼の血を誰かを守るために使おうとしてる。』

『私も守りたい人がいれば禰豆子や炭次郎や善逸みたいになれる？』

！！！

人の気配に気付き振り返るとそこには涙を流す炭次郎の姿があった。

どうやら禰豆子と私がいない事に気付き心配で探しに来てくれたようだ。

『どこから聞いてたの？』

ばつの悪そうな顔をして律が聞く。

炭「きよかが禰豆子の事をはじめ怖かったと言ってるあたりから。」

涙を拭いながら言う炭次郎。じゃあほとんど全部聞いてしまったんだな。

私の身体に鬼の血が流れてることも。

『………。』

炭「俺には禰豆子がいたし禰豆子には俺がいたんだ。」

炭「とても悲しい孤独な匂いだ。どうして…律には家族はいないのか？」

『祖父が1人生きてるよ。ただ私に鬼の血が流れてる事を知って心が壊れちゃった…だから鬼殺隊のしのぶさんて方に記憶を消してもらったの。』

炭「家族の記憶を消すなんて…どんなに辛くても俺は絶対に…俺は律の事が好きだよ！！だから律が自分の事嫌いだって思ってるのが悲しいよ…」

炭「善逸や伊之助も律が好きだよ。」