短編集花 (ページ3)

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hk side

思わず教室を飛び出してあてもなく歩く。

意味分かんなすぎでしょ…
人にはあんなに言ってくるくせに！！

でも怒り以上に正直ショックだった。
今までいのちゃん男っ気なかったのに…いつのまに？

あの男子…誰だろ？

ぐるぐる考えながら歩いてると気付いたら屋上へ続く階段のとこにいた。

あれ？この学校って屋上行っていいんだっけ？
先生の話全然聞いてなかったからわかんない。

……まぁいっか！
ドアノブひねったら開いたし。

　

わぁ！！すごい！！！
屋上ってこんな感じなんだぁ、、

風が気持ちよくって、思わず目をつぶって手を広げる。

「っ、ふはっ(笑)www」

誰かの笑い声が聞こえてびっくりして慌てて手をおろして振り返る。

柵にもたれた男子生徒がおかしそうに笑ってた。

「一人で何やってんの(笑)急にミュージカル始まったかと思ったわ(笑)ww」

恥ずかしすぎるんですけど…！！
そんなに笑わないでよ！

まだちょっと笑いながら近づいてくるその人は、背が高くて足が長くてなんかすごく……カッコいい…
ふにゃりと笑った表情は意地悪な笑いというより、優しい感じが伝わってくる。

「そんな恥ずかしかった？顔真っ赤だよ？」
近くから顔を覗き込まれ、ドキッとする。

真顔だと、鋭さも混ざった眼差しというか男らしい精悍な顔つきになる。
さっきまでの優しい表情とのギャップに、またまたドキッとする。

なんかドギマギしすぎて喋れない。

私が１人で脳内パニック起こしてると、

「なぁ、なんか喋れよ(笑)
俺がいじめてるみたいじゃん。」

なんて言われたから

「１年3組、八乙女光です」
って言ったらめっちゃ爆笑された。

？？？

まずは自己紹介でしょ？
なんならそっちこそしてよ！

なんで笑われてるかわかんないから思わずむくれた顔になる。

「あ〜〜ごめんごめん(笑)
八乙女って可愛いね。」

“可愛い”

全然可愛くなんかないけど、この一言で爆笑されたことなんかどうでも良くなるくらい嬉しくってドキドキした。

こ、この人なんなの。
どんだけあたしをドキドキさせれば気が済むの…？

ネクタイの色的に先輩みたい。

「あの、あなたは誰なんですか？」

「2年3組、薮宏太です」
そう言って彼は、してやったりな表情で笑った。

【出会いFim.】