MEMORY 【影山飛雄】

03. 4人家族 ページ3

…







　目が、覚めた。



　ハッとして起き上がると、

　秋の冷たくて。でも澄み切っている
　柔らかな日差しが部屋に差し込んでいた。

　というけどもうすぐ冬だし。
　今日が異様に暖かいだけだし。






　『…また、か…』






　この夢を最近よく見る。
　目元に手をやると手が濡れる感覚。




　涙が零れた。
　一粒だけ。




　その思いは、何なのだろうか。
　きみに対する謝罪の気持ちなのか。




　きみに対する想いなのか。






　それは、わからない。






　時計を見ると、
　まだ全然寝れる時間で。

　いつもはこの時間。
　部活に行っていた時間。




　だけど、もう引退してしまった。






　あのボールの響く音も、
　手が痛くなるほどの水場の仕事も。



　もう、味わえなくて。






　たまに、顔出しは引退した8人でするけれど
　やっぱり。



　もうそこには、私たちの居場所はない。









　なんだか、泣きたい気分になって。
　またベットの中に潜り込んだ。






　眠気が襲ってき始めたとき。





　それは突然。
　やってきた。









　「おい、姉貴。いつまで寝てんだよ」









　響く低い声。
　そうだ、この家には今2人しか住んでいない。




　親は万年旅行に飛んでいく。
　仕事でガッポガッポだから、



　いつも家にいない。





　別に寂しくもなんともない。
　お金は定期的に送ってくるし、

　必要な書類もFAXで送り付けるから別に不自由しない。





　…そうだ。
　中2までは母と2人暮らしだった。




　でも、きみと出会ったあの日から。
　きみが泣いたあの日から




　私たちは、4人家族になった。








…

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