MEMORY 【影山飛雄】

04. 隠し通す恋心 ページ4

…








　私には、家族がいたらしい。
　私が交通事故にあって、記憶をなくした


　前日に離婚してたらしい。






　母は、もう会うことのない
　私の父と、弟の事を覚える必要はない。



　そう判断して私に
　家族がいたことを伝えなかった。





　でも、結果として。
　再婚した。





　だからね、きみがお姉ちゃんと言ったとき
　きみが泣いた理由は





　生き別れた姉が、
　自分の事を覚えていなかったからだろう。







　きみも、私が記憶をなくしたことを
　知らなくて。





　傷つけてしまった。




　同時に、持ってはいけない感情を持った。







　弟、と紹介されても。
　きみのことを知らなかったから



　血がつながっているんだよ。







　そう言われても






　きみが好きだった。
　きみのことが好きになった。




　だって、一目惚れした人が
　今日から弟です。




　そう言われても諦められなかった。








　だから、きみのこと。
　弟だとは思えなくて。




　だから、今日もこの想いを隠すの。




　少しでも、きみの姉になって
　少しでも、長く一緒に居たいから。








　『飛雄、起こしてー』






　「自分で起きろよ」









　今日も、隠し通すの。









…

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