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「おいし?」

「ん、おいち!」

「よかった〜」



はふはふと小さな口に、取り分けてあげた魚とご飯を詰め込んで喜ぶけいにまた癒される。


まだ幼いのに和食が好きな弟を見ながら、自分が小さな頃はお子様ランチしか食べなかったな、と思い出す。



「あ、けいご飯ついてるよ」



もちみたいなほっぺについてるご飯粒を取ってあげる。



「じゃ、そろそろ行こっか」

「どこ?」

「海だよ、けい」

「うみぃ?!」



海、好きだもんなぁ。


でもごめんね、きっと、絶対いい思い出にはならないよ。


冷たくなった潮風が容赦なく吹き付けてくる。


真っ暗な空に真っ暗な海、闇を吸い込んだみたいなそこはおぞましくて、風が強い分、波の音も凄まじい。



「ひかにぃ、こわい」



目の前の景色を見てしゃくりあげながらそう言うけい。



「にぃにと一緒だから怖くないでしょ」

「やぁやっ!こわいぃ〜!」

「怖くない!」



より一層大きくなる胸元の泣き声に恐怖と苛立ちと罪悪感が募る。


それでも無視して崖の方まで足を進めていると、いつの間にか泣き疲れて寝てしまったらしいけい。


その方が怖くなくていいかもしれない。


ごめんねだめなお兄ちゃんで。









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すいのん(プロフ) - ゆ 。さん» とてもとても嬉しいお言葉ありがとうございます!励みになります(;_;) (2023年4月5日 0時) (レス) @page29 id: 2a4d715210 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ 。(プロフ) - 数少ないjgin小説ありがとうございます。主様の書き方がすごく好きで何回も見させていただいています!! (2023年3月30日 18時) (レス) id: 132d25980b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:すいのん | 作成日時:2020年12月31日 0時

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