もつれてたまるか ページ13
□
いつか見たグラスの中の琥珀と赤のグラデーションみたいな夕焼けを背中に、全速力で走る。
日ごろの運動不足がたたって足がもつれそうになるけど、そこはもう気合い。
骨なんてバラバラになったっていい。
心臓なんて壊れちゃってもいいと思った。
だって、
だって！
山田からの連絡に、あれ？今日って四月だっけ？って思った。
いやちげーわ俺まだ誕生日きてねーし。エイプリルフール以外に嘘ついていい日なんてあったっけ？
そもそも、そんな日があったとしても山田はそんな悪趣味な嘘なんて、つかないだろ。
え？じゃあ、
ちょっと！え？まって？
なんで？どうして？
そればかり頭に浮かべながら、転がる勢いでとりあえず部屋を飛び出した。右足と左足、今どっちが前に出てる？脳が右足に命令を出した時には左足が出ている、よく分かんないけど、そんな感じ。
もつれそう、もつれてたまるか。
なんで？どうして？
リフレインするのはそんな言葉ばかり。
難しい事を考えようとすると頭が爆発しそうだから、あえてそればっかり、なんで？どうして？って頭ん中でブツブツ唱えた。
期待するだけ期待して、何かの間違いだった時に自分を保っていられる自信もない。
ガタガタ鳴るエレベーター、ゆっくり開くドアを無理やりこじ開けて転がり出る。
靴音の反響音が、薄暗くて冷たい、静かなフロアにベタベタと響く。
無理やり据え付けられた木製のドア。それを蹴り破らんばかりの勢いで開いた。
診察イスを移動させてニコニコお茶を飲む知念と、その傍らのソファで、これまたニコニコと談笑に応じる顔が、その大きな音に弾かれて同時にこちらに向けられた。
「もぅ〜、ドア壊れちゃうじゃん。もうちょっと丁寧に扱ってよね！バカだからわかんないの？！」
「…日下…くん……？」
もう知念の憎まれ口も聞こえない。
だって、いる。
「…たかぎ……あの…」
触れられる距離に…恋焦がれた人が、いるんだから…。
「日下くん、」
「あの、えと……ただい…ぐぇ、」
「ちょっと雄也！瑛治の背骨が折れる！！」
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ニチアサ大好き(プロフ) - 追伸 平星神話一番気に入っています！こちらのほうでコメント失礼しました。 (2021年9月9日 22時) (
レス) id: f2da55ccdf (このIDを非表示/違反報告)
ニチアサ大好き(プロフ) - 初めまして。たかいのが好きな者です。そし誰の日下くんもいのたかさん共々推しなので今回2次創作でこの物語に出会えたこと本当に嬉しかったです。書いてくださりありがとうございました。突然長文失礼致しました。 (2021年9月9日 21時) (レス) id: f2da55ccdf (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - まいまいさん» 難しかったですか？確かにちょっと複雑でしたよね笑 だけど飽きずに読んでいただけたなら嬉しいです。よそのキャラクターを混ぜることに不安があったんですけど、そう言っていただけるなら本当によかった☆コメントありがとうございました！とっても嬉しかったです！ (2016年12月22日 19時) (レス) id: 4359bb4f37 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - ゆうさん» ひぇ〜！恐れ多いお言葉ありがとうございます！あの状態の日下さんが雄也さんに惚れるちゃんとした説得力が欲しかったんですよね。自分を献身的に育て直してくれた人なら愛情に変わっても違和感ないかなって思いあんな感じに…。ありがとうございました。嬉しかったです (2016年12月22日 18時) (レス) id: 4359bb4f37 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - みちさん» 思い出してはズキズキ痛む心のトゲ。あんなに愛してた母親を死なせてしまった罪悪感はのたうち回るほどだと思います。でも“君はひとりぼっちじゃないよ” って、いつも雄也さんが伝え続けてくれるので堪える事ができるのです。素敵なコメントありがとうございました！ (2016年12月22日 18時) (レス) id: 4359bb4f37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆうき | 作成日時：2016年12月6日 0時
