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「大したことないな」
その客が発した一言目はそれだった。
初めからおかしな人だとは思った。
全身真っ黒の服を身に纏い、まるで顔を隠すように大きな帽子とマスクとサングラス。
「お気に召しませんでしたか?」
初めて見たお客ということもあり、さりげなく反応を伺っていた俺は思わず声をかけた。
「え…、?」
いきなり話しかけられ困惑した様子。顔を隠すマスクとサングラスが消えた彼は驚くほど綺麗な顔をしていた。
「すみません、お声が聞こえたもので…。恐縮ですがモデルさん、とかやってらっしゃいますか?」
もはや自分の好奇心。
くりっとした二重の目に引き込まれるように、もっとこの人のことを知りたいという欲望に駆られた。
「アイドル…です。えっと、すみません。俺料理が得意で、卵は美味しんですけど、その、ケチャップライスの方が、もったいない、なって」
しどろもどろになって申し訳なさそうに話す彼を可愛いと思う。
こんな感情感じたことがない。
「もしよろしければ、教えていただけませんか?もっと美味しいオムライスの作り方」
少し考えた後、小さく頷いたのを見て自分の名刺を取り出した。裏に携帯番号を走り書きしてそっと伝票の隣に置く。
「連絡待ってます」
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作成日時:2018年7月24日 17時