透明マントで気持ちも隠そう‐Sirius Black ページ34
名付け親だって、ロマンチックな恋ぐらいする。 / シリウス・ブラック ( 子供時代 )
からだが震えた。寒いというわけではなかったが、震えた。
「ここ何日か、会えてないな」
呟いた言葉は、静かな森へと届きそうで、そしてあの子にも届きそうで、恐ろしかった。
もうこんな夜にひとりごとはよそう、とシリウスは思った。
しばらくあの子のことを考えていると、ひたひたと小さな足音がするのに気付いた。
そして、すぐ近くでぴた、と止まったかと思ったら、次はシリウスの寝転がっていたベッドがぎし、と音を立てた。
まさか、と思った彼は、起き上がった。
そのまさかだった。
「シリウス」
Aだった。顔いっぱいに満面の笑みを浮かべている。
「よかった」
起きてたのね、と笑った。
彼女はなにかいいことがあった日に、決まってここへ来る。当然、いいことがなにもなかった日は来ない。
「今日はどんないいことがあったんだ？ ――最近来てなかったじゃないか」
「うん、そうなの」彼女は顔をシリウスに向け、着ていたマントを見せた。「この前、優しすぎるくらいのいい人――マルフォイっていうんだけど――がね、校長先生に貰ったこの透明マントが入った鞄を隠しちゃったの」
「ほう、優しすぎるくらいのいい人、か」
ハハハ、と吠えるように笑う彼を見て、Aは表情を和らげた。
「まぁ、理由はそれ以外にもあったんだろ？」
「え、ああ――わかっちゃった？」
「わかるさ、それぐらい」
月明かりでは互いの顔が見えないからと、シリウスはベッドを降りて杖を出し、光を点けた。
「今日はね、リリーと写真を撮った」
「へぇ、よかったな」
「興味なさそうね？ まぁ、シリウスにとってはどうでもいいことだよね」
シリウスはすこし考えてから、言った。
「写真は好きだ――見せてくれよ」
彼女は待ってましたと言わんばかりに服のポケットから写真を出した。
赤髪と黒髪の女子生徒がぎこちない笑顔で手を振っている写真だった。エバンズとAだ。二人の距離感はまだ親密とは言い難い感じである。
「かわいい？」
Aがそわそわしながら自分の顔を覗きこむしぐさは、純粋にかわいいと思った。
だがシリウスは、そう思ったことを伝えようとは思わなかった。
「さぁな」
――二人は、互いに恋していることを、まだ知らない。
それを知るのはそう遠くはないはずである。
恋が終わるとき‐Remus Lupin→←夢にも思えば‐Harry Poter
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棗野 ｡(プロフ) - feat.もうしら寝さん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません！ リクエストありがとうございます、早急に作りますね！ (2016年1月24日 22時) (
レス) id: 2e90d9dd81 (このIDを非表示/違反報告)
feat.もうしら寝 - ありがとうございます!リクエストでいろいろこまかいんですけど「ダーズリー家に夢主の猫が迷いこむ」→「許可をとり探しに来た夢主にハリーが一目惚れ」→「ハリーと同学年のグリフィンドール生であることが判明」→「いろいろあってハッピーエンド」という話を。 (2015年12月29日 16時) (レス) id: d5ada5d17a (このIDを非表示/違反報告)
棗野 ｡(プロフ) - feat.もうしら寝さん» いえいえ、こちらこそ！ もちろんですよ、リクエスト待っています！ (2015年12月23日 16時) (レス) id: 2e90d9dd81 (このIDを非表示/違反報告)
feat.もうしら寝 - ありがとうございます！ またリクエストしていいですか？ (2015年12月22日 14時) (レス) id: 506c16022b (このIDを非表示/違反報告)
棗野 ｡(プロフ) - feat．もうしら寝さん» ごめんなさい！ 誤字がありました、わざわざ、です！ 意味不明なこと返信してしまい申し訳ありません……(*_*; (2015年12月20日 23時) (レス) id: 2e90d9dd81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：棗野 ｡ | 作成日時：2015年8月8日 22時
