12-2 【END】 ページ38
そして、下校する頃には上杉の意思は固まっていた。
もしも、ずっと気持ちを隠し続け、他の奴らに彼女を取られてしまったら?
そう考えたら、結論は一つしか出てこなかった。
決意のままに秀明に足を進める。
いつもより早い時間。
上杉はもう秀明に着いていた。
そして、門に寄りかかり、一人の人物__彼女を待っていた。
彼女は授業時間よりも、早い時間にもう秀明に着き、授業の予習をしているのを上杉は知っていた。
そんなまじめな部分に惹かれたのか…と考えている矢先、彼女が歩いてきた。
「上杉くん?」
思わず彼女が言った言葉にできるだけ平常を保って答える。
「よっ」
「どうしたの?」と不思議そうに言う彼女の腕を引っ張る。
「少し、時間あるか?」
頷いた彼女を見た上杉は足を速めた。
着いたのは
「高砂公園?」
上杉は、もしも言うならここだ、と決めていた。
惚れたあの場所で、言うんだ、と。
ベンチに座って、話す。
「俺さ、この場所は思い出のとこなんだ。」
不思議そうに聞く彼女。
上杉の視界には、数メートル後ろにいる影が見えなかった。
「そ、初めて人を好きになった場所。」
きっと赤くなっているだろう、そう思いながら彼女を見ていた。
「俺、絶対人を好きになるなんて思ってなかった。
でも、お前と出会って変わった。」
彼女の頬が桃色に変わるのを見た上杉は軽く息を吸う。
「立花。好きだ」
その言葉に、彼女__彩は顔が真っ赤になりながらもそれに答える。
「わ、私も…好き」
上杉は、思いもよらぬ言葉に驚くものの、目の端を赤くさせていた。
「マジ、か」
その時、後ろにいた影が姿を現した。
「へー…女嫌いで有名な上杉が告白か…」
その言葉に上杉は急いで振り向く。
「わ、若武…」
彩が顔を赤くさせているのをみた若武は、上杉に向かった。
「良かったじゃんか。
無事、カップル成立だ。」
笑う若武に対して上杉はなんとも言えぬ気持ちになった。
上杉は知っていた。
若武が、彩のことが好きだってことを。
でも、リーダーとしてその気持ちを隠しているということも。
だからこそ、上杉は若武が知らないであろうここ高砂公園で彩に伝えようとしたのだ。
勿論、初めて人を好きになった場所ということもあるが。
そんな気持ちを考えてか、若武はニッと笑った。
「何、浮かない顔してんだよ。
告白が成功したんだぞ。」
上杉はその笑顔が眩しいと心から思った。
【END】
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菊香(プロフ) - にーなさん» 遅れてごめんなさい!本当そうです!翼が出るか出るかと心待ちにしていたのに…残念でした…… (2017年10月18日 22時) (レス) id: aea442a5e9 (このIDを非表示/違反報告)
にーな - アニメに翼が出なかったのはショックですね(T-T) (2017年8月30日 17時) (レス) id: 839e9aa7fd (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 美桜♪ さん» そ、そうかな?ありがと~♪美桜は、誰押し? (2016年3月26日 9時) (レス) id: 52fa666800 (このIDを非表示/違反報告)
美桜♪ - 菊香さん» いやいや…菊香でしょ!断然! (2016年3月23日 17時) (レス) id: 59f27b1e9c (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 美桜♪ さん» 美桜(♪抜かして呼んでも、大丈夫?)の作品も、読んでるよ〜!いや、私のと比べたら、美桜の作品が上手すぎて… (2016年3月23日 13時) (レス) id: aea442a5e9 (このIDを非表示/違反報告)
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