(kz story)...1

３-２ ページ11

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「ただいまー」



そう言うと、


「お帰り！お姉ちゃん！」



とリビングからヒョコっと顔を出して、言ってくる奈子。




その奈子のふっくらとした頬にクリームがついていた。


ケーキでも食べてたんだな、きっと。



「お姉ちゃん、ママがショートケーキ買ってきてくれたんだよ！


味見してみたけど、美味しかったから一緒に食べようよ！」



味見って…


クリームの量を見たら、半分は食べてるよね。



「ん、分かった。



今、手を洗ってくるから。」




そう言って洗面所に向かう。









いつも通り、手を洗って
いつも通り、今日を過ごそうとした









はず、だった。









その時までは。









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「よし、完璧。」




独り言を呟いて、ふわふわのタオルで手を拭こうとした。








鏡をチラッと見る。









…。




「え？」





…鏡で見ると私の右側に、黒い、小さな点があった。






でも、怖くは無かった。



だって、米粒ほどの大きさの点。





きっと鏡についた汚れでしょ？





ティッシュで拭こうと鏡から目を離してティッシュを取る。




そして、また鏡に向かうと、




「あれ？」




さっきまでついていた黒い点は消えていた。




…。




見間違い？




まさか。視力は良い方だと思うんだけど…。






ま、今回は見間違いということにしといた。









**


次の日。




学校に行くとき雨が降ってたから、髪が跳ねてないかチェックしようとして鏡の前に立った。







「良かった…」



髪は跳ねてなかった…けど




また、私の右側に黒い点がついていた。




昨日よりも少し大きくなって。



…これは、見間違いじゃないよね。




意を決して振り返って右側を見た。




…



…




「だよね…」




何も無かった。




鏡をもう一度見ると、何も無い。




昨日から一体何？





ただの見間違いと思うけど、意味の分からない恐怖心に怯えていた。





学校から帰って、手を洗おうとまた洗面所の前に立つ。




また、私の右側に…









「ふぅ。」




やっぱり、見間違いだよね。





何も無い。





良かった…




その日は何も感じることなく、眠りについた。








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