ニセモノを探せ*16 ページ17
「ならええんやけど」
独り言のように呟いた後、「そうや」とハッとしたように坂田が言う。
心なしか坂田の瞳がキラキラと輝いているように見えた。
「ね、ご飯食べよ！」
「……ん？…あぁ」
あまりにも想像と離れたことを言われたから一回思考停止してしまいそうになる。
けれど改めて ご飯か と思うとここ最近ずっと何も食べ物を口にしていないことに気づいた。
それなのに全くお腹が空いていないことに驚く。
人間の三大欲求である食欲が全くわいてこない。
「なんか全くお腹空いてないんだよね」
私の言葉にうらたが頷いた。
「俺も。この世界だからって理由もあるかもな」
「でも、食べても食べなくてもいいなら食べたほうが幸せになれる気しいひん？」
確かに、と思う。
私自身美味しいものを食べるのが好きだし、幸せな気持ちになれるのも確かだ。
そしてお腹が空かないにしてもやはり何も口に入れていないというのは気分的にエネルギーが出ない気がする。
けど…と坂田を見る。
こんな学校の中に食べ物なんてあるのだろうか。
坂田は私の目線に気づいたらしく、へへっと笑った。
「まぁ食べ物と言ってもカップラーメンくらいしかなかったんやけどな！」
……期待はしていなかったけれど。
けれどやっぱり食べるか食べないかなら食べるほうが良いに決まっているのでのそりとベッドから降りる。
地面に足をつけるこの感触が、ずっと寝ていたせいか懐かしく思えてきた。
話によると職員室にカップラーメンがあったのを昨日の学校散策の時に坂田とうらたが発見したらしい。
電気ポットも職員室にあったのでお湯も沸かせるし大丈夫そうだ。
坂田とうらたと歩いていると、昨日志麻とセンラに話していた事をふと思い出した。
「ねえ、当たり前のように学校の中で生活してるけど外に出ることってできないのかな？」
坂田は私の言葉に「あー」と声を出した。
その声からは、納得しているのかそれとも曖昧に濁しているかの判断は難しい。
私を挟んで歩いている今の状況。
私以外の2人が目を合わせたのが視界の端に映る。
「それ昨日俺たちも思って試してみたんやけど敷地外に出ようとしたら見えない壁があるみたいな感じで出られへんかったよ」
「そっか……」
この2人は私と同じ考えをしてたんだな、と思い少しホッとした。
昨日の志麻とセンラの反応に比べたら何倍も安心する。
ちょうどその時職員室に着き、壁に貼られている紙が逆になっていてもあまり驚かない自分が少し怖くなった。
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菊香(プロフ) - 白雨さん» わ！はくちゃんありがとう〜！！めちゃめちゃ嬉しいです…そんなこと言ってくれて光栄ですありがとう(;;)更新のペース上げれたらな、と頑張るのでこれからもお付き合いください* (2019年9月26日 5時) (
レス) id: c2572f788b (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - コメント失礼します〜！ 菊ちゃんの作品の中で1番好きな作品がこの『ニセモノを探せ。』なんだけど、やっぱり考察も入るから一つ一つの表現と言葉が印象に残るし、文もまとめられてるからすっと頭に入ってきて凄く読みやすかったです！更新待ってます……！！ (2019年9月26日 0時) (レス) id: 7f0c200b78 (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 乃都さん» わわっ、ありがとうございます！とても嬉しいです…励みになります(;;)これからもお付き合い頂けると幸いです〜！ (2019年9月25日 21時) (レス) id: c2572f788b (このIDを非表示/違反報告)
乃都 - 分かりやすい表現で､メンバー一人一人の性格や口調も掴めていながら読めば読むほど推理や推測も出来私などでは､表し用の無い程素晴らしい作品です。こんな素敵な作品を見せて頂きますありがとうございます。 (2019年9月25日 17時) (レス) id: ddd9224e3c (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - イチさん» うふふ( *´艸`)更新がんばりますね！ (2019年8月18日 17時) (レス) id: 2f8e2c41d8 (このIDを非表示/違反報告)
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