続きを*3 ページ3
「やっほー、また会ったね」
「やっぱ夢だとここに来るのか……」
眠りについて、ハッと気がつくと目の前にはあの彼女。
小さくため息をつくと、彼女はもうっと頬を膨らませた。
「だから言ったでしょ？これは私の世界だから貴方は強制的に連れてこられているの！」
「それが意味わかんねーんだよ」
小さくそう突っ込み、起きている間ずっと言いたかった質問を彼女にぶつける。
「………君って、何者？」
俺の質問に拍子抜けしたように数回目をぱちくりさせて彼女は小さく笑った。
いや、普通の笑いではない。まるで嘲笑うような笑み。
「私は、普通の人間だよ」
俺の瞳を見つめる彼女の瞳。
その瞳が一瞬揺らいだような気がした。
「でもね、」と言い彼女は口を開く。
「今、意識不明なんだ私」
「…は」
「生きるか死ぬかも半分な状態。目を開けることも出来ないし声を発する事もできない。もしかしたらもうずっとこのまま終わるのかもしれない」
「………」
「私には未来が見えない。先の見えない不安だけがあるの」
今まで彼女が明るく振舞っていた分、より弱々しく見える。
少し躊躇しながらも、口を開いた。
「この世界は、なに？」
「なんかね、私意識不明で現実の世界ではどうすることも出来ないの。でもこの夢の中、空想世界なら好きに出来るらしい。こういう世界を作る事も、貴方を呼び寄せることだって出来る」
あたりを見回す。
今日はそこには夏のお祭りが繰り広げられていた。
どこかで聞こえる太鼓の音。空は暗いけど出店の光で明るく見える境内。
わたがし とか チョコバナナ とかたくさん看板が張り出されているその出店にも人は誰もいない。
浴衣姿の人など誰もいなく、いるのはずっと同じワンピースを着ている彼女と普通の格好をしている俺。
「なんで、呼び寄せる相手が俺？」
提灯の光を見つめながら問う。
仄かに光るその灯りがまるで彼女の心を表しているのかのようで、少し目を伏せた。
「分からない」
「え、」
「誰かいたらいいなって思って。誰か1人でも人が来るようにってしたら来たのが、」
「俺、だった？」
彼女は柔らかな黒髪を揺らし、頷いた。
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翡翠琥珀(プロフ) - もう二年以上経ってるこの作品を今更読んでしまったことに後悔いています。もっと早く出会うべきだった…！！めっちゃ最高でした。短編なのにこんなにもグッとくる……他の作品も読ませていただきます！！ (2020年9月26日 18時) (
レス) id: 387b2ce801 (このIDを非表示/違反報告)
菊香(プロフ) - 月読さん» わわ、ありがとうございます…本当に嬉しいです…！！短編だったので内容が伝わったのか不安でしたがそう言われてホッとしました(笑)マイペースに頑張っていきます(^^*)コメントありがとうございました* (2018年8月17日 11時) (レス) id: aea442a5e9 (このIDを非表示/違反報告)
月読(プロフ) - かなりの短編なのに、こんなにも感動してほっこりとした気持ちになるとは思っていませんでした…最後は感動で鳥肌と涙が…笑 完結お疲れ様でした！これからも頑張ってください、応援しています( ；∀；) (2018年8月17日 1時) (レス) id: 720095c5ce (このIDを非表示/違反報告)
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